クジラ乗り2005年07月25日 10時11分31秒

 録画しておいた「クジラの島の少女」を見た。
 原題は「Whale Rider」ホエールライダー、イージーライダー、ウィノナライダーみたいに語呂がいいね。全然関係ないけど。ウィノナライダーも出てないし(当たり前だけど)
 原作があります。ウィティ イヒマエラ。名前から察するに、おそらく、この話の部族出身の方ではないでせうか?国はニュージーランドですが。
 この映画は一言で言ふと、素晴らしい映画です。
 主役の女の子はよかつたな〜。
 いいところは「泣かせない」ところですね。これ、とつてもエライ。
 そもそもぼくは「泣かせ」の映画が嫌ひなんだが、さういふことではなくこの映画の「泣かせない」姿勢には感心します。
 だから、この映画を見て泣いた人は反省しなさい。まあ、映画の見方にルールはないので、泣くもの笑ふのも自由なんだけど、お涙頂戴映画もこれも一緒では、やはり困るよ。
 昔々、ご先祖様(名はパイケア)がクジラに乗つてこの地についたと言ふ伝説のある民族の直系の話だが、嫡男主義(!?)なんだな。そこに女の子として生まれて(しかも双子の男の子は生まれる時に死んでしまう)苦労する話だ。
 なんか、内容書くと、一気につまらなくなるな‥‥‥。「おしん」みたいな作品を想像しないでね。
 内容に関してはなるべく伏せていかうと常に思ふ。
 でも、どうしても書きたいのは、健気な主人公が、涙ボロボロで語るやうなシーンでも、この映画は観客を泣かせない!エライ!凄い!
 泣いた人はゐるかもしれないけど、それは「つい」泣いてしまつただけと言ふことで、罪に問ふのはやめやう。ある種の条件反射であらう。許す。
 ふと考えると、これはジェンダーにとらえやうと思へば、捕らえられないこともない。男系社会で、女性の指導者が生まれるのにはおそらく長〜〜い年月と、初女帝になるものの苦悩があるのだ。と、わかる。もちろんそれを語る映画にも出来ただらう。(暗にどこそこで作つたならさうなると言つてゐる)でも、この映画はもつと冷静で、大局的なものの味方をしてゐる。
 語りの映画なんだけど、語つているのが、子供だからかな。視点が汚れてない。まあ、作つたのは大人ですけど。

 この映画を見ながら、なんとなく思ひ出した本があるので、それをご紹介。
 ユーリー ルィトヘウの「クジラの消えた日」
 こちらも少数民族系な作家ですかね。シベリア方面(広い!)の方の筈です。人類創世の物語です。

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