働く人2006年05月13日 21時42分36秒

 最近読んだ本の「あとがき」にあつた文章を一部そのまま書く。

(転載始め)
 製本屋の女工として勤務していた賀川はる子は、その自叙伝『女中奉公と女工生活』(復刻版が大空社より発行)の中で、製本の喜びを次のように記している。
「仕事は面白いものである。嬉しいものである。又愛すべきものである。金縁の美しいものが出来上がると時職人は最も大切に取り扱う。‥‥‥金箔が付いてゐて一方は表紙を付けるために糊が付いてゐる。金を汚さない為汚れた糊のついた手を頭の毛で拭ふ。朝は綺麗に梳(くしけず)ってきたものを仕事に懸命になると髪の毛も着物も、手拭を代用するほど熱中する」
「仕事に対して一つの熟練を得ると誇りが出来る。学者がその修め得て、蘊奥(うんおう)を極めた学術を社会に発表し益するところの多くあるときに必ず誇りがあるであらう。製本工が又その書物の製作に対して、熟練の技量を自覚する時に之(これ)にも誇りがあるものである」
(転載終はり)

 本を読んでいきなり「あとがき」を紹介するといふのも失礼なので、遅ればせながら書く。『売られ続ける日本、買い漁(あさ)るアメリカ』本山美彦(京都大学大学院教授)著、ビジネス社発行。
 もういまさらかも知れないがスモールファウンテンが改革、改革といふその改革が何なのかさつぱりわからないので、気になる本を読んでみた。そのうちの一冊である。(以前紹介した森田実氏のブログの本もさう)他にも紹介したい本はあるが、紹介するには理解度が足りないので、むづかしいのだ。どの本も専門家でなくても読めるやうにと解りやすいやう平易な言葉で書いてある。しかし、それでも専門用語は出てくる。ぼく自身の基礎知識にもかなり問題がある。この手の本を図書館で借りて通し読みしてそれで終はりといふ訳にはいかんなと反省する。
 それで、ぼくの解らなかつたことは概ね解つた。そもそもぼくの『改革』といふ言葉に対する認識が違つてゐたのだ。解らない筈だ。でも、あえていふけど今行はれてゐるのは『改革』ではないよ。と、それよりももつともつと解らない事が出てきてしまつたのだけど、説明がむづかしいので、もう少し言葉になつたら書きます。
 で、「あとがき」です。
 本山教授が、この引用から「あとがき」を書きはじめたことには大変意味がある。会社があつて働く人がゐる。働く人がゐて会社がある。作る事、生み出す事に誇りを持つて働く人々。さういふ人々やその思ひを尊重せやうよ。と、ぼくもさう思ふ。
 みかんを作る人、作らせる人、運ぶ人、運ばせる人、売る人、売らせる人、売らせる人を買つたり売つたりしちやう人。そして、何も気にせず買ふ人。誰が偉くて偉くないではなくて、みかん作る人がゐなくなつたら、みかんは食べられないんだから、みかんを作る人の誇りを、売らせる人を買つたり売つたりしちやう人たちは尊敬しないとね。ついでに何も気にせず買ふ人も。

 う〜ん。オチが作れない‥‥‥‥。