猫は止まる2006年07月04日 23時48分19秒

 帰りに家のそばで猫に遭遇。
 よく猫は止まると言はれる。
 たたっ!と道に走り出したはいいけれど、自動車などが走つてくると、パニクって前へも後ろへも行けずその場に立ちすくんでしまうのだ。
 その結果、跳ね飛ばされた猫はたくさんゐるだらう。猫の飛び出しは速いし、よるくらい場所だと、認識出来ない場合もある。
 猫は一般的にそんな感じだが、鳥はまた違ふ。
 鳩、雀、烏とそれぞれに多少の差はあれど、彼らはなかなか避(よ)けない。
 これが、ホントにぎりぎりまで避けない。
 さすが鳥といへばよいのか?
 それでゐて彼らはちやんと飛び立つてゐる。
 「ああ!」と思つてもそこにつぶれた鳩を見たことがない。
 「よけてよ〜」と徐行してもこちらの死角に入るまで雀たちは飛ばない。
 「しょうがねえな〜」と狭い道でこちらが一生懸命避けても、烏は「邪魔すんなよ。今、残飯食ってんだよ!」と文句たれる。

 で、さて、さつき遭遇した猫はどうだつたかと言ふと。
 ぼくはバイク。
 暗い道にのそのそ歩く猫影あり「あ、猫だ」と思ひ減速したが、猫はパニくる様子もなくゆつたりと道を渡り続ける。あまりに遅いので、目の前まで来てしまつた。ヘッドライトに照らされた猫は「あれ?」といふぐらいなもんで、パニくるも何も気づいてゐなかつたのだ。
 ホントに目の前に来て、しかもスポットライトにしつかり照らされて初めて「!?」となつたのだ。それが、また、悠長な驚きで、まあ、お年寄りの猫だつたのだな。
 「あんれま〜」とこちらを見上げて、そこで、しばし止まり(パニくって止まつたのとは違ふな〜。いや、心の中ではパニくったのだらうけど)それからもたもたと、目的の方向へ進みました。
 尻尾のクネクネと曲がつた白い猫でした。
 スポットライトに浮かび上がつたその影は何かに似てゐるやうな‥‥‥でも、猫です。