はーどぼいるどだど42007年05月25日 23時31分37秒

 終はりにしたと思つたらまだやつてる。
 実は、チャンドラーの『長いお別れ』が、村上春樹の訳で出てゐるので、図書館に予約してゐるのだ。
 ぼくの読んだのは、ハヤカワミステリーで清水俊二の訳だ。
 好きといいつつチャンドラーの文章は、判りやすいのに読むのが難儀といふ不思議な文章なのだ。情景模写が細かく雰囲気がいいのだが(訳もいいんだと思ふ)何故か、難解なのだ。
 村上春樹がどんな訳にしてくれるのか楽しみなんだ。
 ところでタイトルは『長いお別れ』でなくて『ロンググッドバイ』と、英語をカタカナにしただけだ。
 これは想像だが、この手の本としては、かなり売れてゐるのではないかと思ふ。
 で、猫の写真があるからには映画の『ロンググッドバイ』の話もする。
 本がくる前にDVDを見たのだ。清水俊二訳の文庫本もあるが、そんなこんなで、一朝一夕では読めないので、映画にしたのだ。
 これが、本気で面白いんだ。
 だがね‥‥。
 字幕翻訳が篠原有子さんといふ人なんだが(映画公開時とは違ふと思ふ。だから新訳?)ちよいと気に入らないのだ。
 ぼくは英語が出来ないから、安心して見られるのは翻訳家さんのおかげなんだが、それでも、こいつはいただけない事態だ。
 この映画でおそらく一番大事で、シャレと情感のこもつた『これなくしてこの映画なし』の重要なセリフを訳してないのだ!
 あれ‥‥。
 ‥‥て、感じ。
 それは「 I even lost my cat 」といふセリフなんだけど、この間『はーどぼいるどだど』の一番最初の時にあえて内容を書かなかつたのだが、冒頭飼ひ猫とのシーンが、かなりのボリューム感であるんだ。この猫は結局家出してしまうんだ。そして、重要な場面でこのセリフがある。
 ここは、なんか一発イカした訳を決めて欲しかつた。
 でも、字幕は『そうかもしれん』(!?)だつた。
 おそらく、篠原さんは『自然な会話』といふものを重要視したのだと思ふ。翻訳者の大事な役目だとは思ふ。でも、ハードボイルドつてのはさ‥‥。