さらに、Technics SL-52008年04月17日 19時10分46秒

 いよいよ本題に入る。

 1981年に発売され、翌年新しい音響機器&ソフトであるところのCDが発売され、10年後にはレコードは忘れられ、さらに10年後には iPod の時代……いくらなんでも早いか……10数年後には iPod といふか電脳の世界へ突入するといふお話をした。
 ????いつの間に……??

 まあ、勢いといふことで、戯れ言はパスして。

 いい加減に、このレコードプレーヤーに関する本題に入らう。

 今から10数年前(なんでもかんでも10数年だ……)事件は起きた。
 どさくさにまぎれて、大事な電源コードを捨ててしまつたのだ!

 どさくさとは?
 コンピューター関係のACコードやら、SCSIコードやら、MIDI、ピンジャック、あれこれそれはらほろひれはれ、山のやうになつてしまい。同じものが溢れ、つまり邪魔だつたので、あるとき大量に処分したのだつた。
 SL-5のコードは他のものとは違ひ、一目瞭然なのであるが、であるが……、ちやんと確認しながら選別してゐたはずなのであるが、であるが……、つまりどさくさ……だ。
 ふとあるとき、レコードでも聞くぞ!と思つたとき、それが無い事に気づいたのだつた。探しても探してもない。
 あの時に、一緒に捨てた以外に考えられないと結論に達し、その後このプレイヤーは回る事無く10年余りの年月を無為に過ごす事になつたのである。

 さう、時はすでにCDの時代に入つてゐたといふことも、放置された理由にならう。
 是が非でも回す必要がなかつたのである。
 だけど、もつたいない事だ。
 それに、何枚あるのか数えた事無いけど、LPレコードも眠り続けてゐる。
 これは捨てられないんだよな〜。
 CDは、レコファンなんかに売つたり出来るんだけど、レコードはな〜。(そもそも買ひ取つてくれるやうなレコード少ないと思ふけど……趣味が一般的でないんで……)
 そして、なんでもCD化される昨今だけど、ないものもある(あるいは、なかなか見つからない)
 それに、なんといふか、針の音が聞こえるやうな、そんな音楽の聞き方が、恋しい事もある。

 そんな最近のある日。新聞に、オールインワン(!?)レコードプレーヤーの広告がのつてゐた。
 つまり、レコードをそのままCDに焼けるといふ便利品だ。
 レコードを持ち続けてゐる人は、それをCDに録音して、聞ければな〜と、一度は考えると思ふ。だから、こんな商品が出るのだ。別に最近のことではないと思ふ。
 しかし、何かの巡り合はせといふか、星の位置といふか、バイオリズムといふか、あるのだらう。
 それを見たときに無性にレコードが聞きたいと思つてしまつたのだ。
 その商品を買ひたいとも思つた。
 が、待てよ。
 もつたいないぢやん!
 プレイヤーはあるのだ。ないのは、電源コードだけだ!
 まあ、致命傷なんだけど……。

 といふことで、コードを売つてないだろかと思ひ、インターネットで探してみたのだ。
 コンピューター用のACコードならいくらでもあるのだが、やはり、見つからない。
 それほど、特殊なコードとは思へないのだが、などと考えるうちに、さういへば昔使つてゐたソニーの「ジルバップ」といふどでかいラジカセのコードが同じだつたやうな気がするなと思つたのだ。
 だけど、もちろん、それはSL-5 以前の事であり、本体もコードも手元には無い。
 そして、終了したオークションだが、「ラジオ、カセット用ACコード」といふのを見つけた。
 ああ、これだよ、この形だよ!でも、オークション終了してるしと、ずいぶん探したけどこれだけか……、なんか疲れてしまつたなあと、そのとき。
 あああああ!
 もしかして、もしらかして、もぉ〜ぅしらかして、うちにあるぢやんぢやん!ぢやんのぢやん。

 さう。
 よりにもよつてPanasonic のCDラジカセが、うちにはあつたのだ!(ちなみにこれも壊れてて、睡眠中)
 持ち主はおかぴだけど、使つてないし、早速押し入れから引つ張り出して確認すると、おお、灯台下暗し(ご多分にもれす長い間「灯台下暮らし」と信じてゐた)もつと早く気づけよといふ感じでありました。

 そして、SL-5 につなぐ。

 スイッチを入れる。

 回つた!

 はつきり言つて凄いと思ふ。

 10年以上眠つてゐたターンテーブルがきちんと回つたのだ!

 Technics おそるべし!

 多分、これは推量だが、通常のベルト式(ゴムの輪つかで、モーターの回転をターンテーブルに伝へて回す方式)だつたら、ゴムが固まつてだめだつたのではないかと思ふ。
 しかし、この SL-5 といふのは、ダイレクトドライブと言つてモーターとターンテーブルが直結してゐるのだ!
 それにしても錆び付いてないのはエラい!としか言ひやうがないが、見事に動いた。

 ここで、冷静な人間なら『針』の心配をするだらう。
 取り替へたのはいつか?
 年月だけでいへば10年以上前な訳だ。
 でも、使用時間は?
 覚えてゐるわけがない!

 一応、インターネットで調べたけどね。まだ、あちこちで買へます。
 だけど、今、たつた今、聞きたいのだ!

 もちろん聞きました。

 で、どうしても最初に聞きたかつたのがこれだ!


 アンルイス!"Think! Pink!"
 奇しくも代表曲は『女はそれを我慢できない』
 男だつて我慢できずに真つ先に聞きました。
 このアルバムは、演歌ポップス、日本のポピュラー音楽戦後の集大成なのだ!
 占領下、進駐軍がジープを乗り回し、アメリカの音楽が日本に上陸し、ロカビリーからグループサウンズ。ムード歌謡から湘南サウンドと、変化浄化を続け、たどり着いた結論がここに凝縮されてゐるのだ。
 アンルイスだから、アメリカ軍人と日本人の間に生まれた彼女だから、この奇跡のアルバムが生まれたとも言へる。
 借り物でも猿真似でもいい。ハーフ&ハーフでもいい。そこから、独自の文化が生まれたのだ。
 終戦から33年。このとき、日本は確実に独立宣言をしたのだ。
 感無量……。
 なのに……ああ……。

 と、横道だかなんだかわからないところへ来てしまつたので、ここいらでおひらき。