新年いきなり2011年01月04日 21時55分15秒

やっちまった事件


初詣には東伏見稲荷へゆく。
もうずいぶんと繰り返してきた。
本殿にお参りした後は、裏の『お社群』(お塚といふのか?小さなお社が、たくさんある。もう何度もお参りしてゐるのに数えたことがない。いろんな神さんが祀られてる)を巡ることにしてゐる。
森の中、鳥居がずらずらずらっと続き楽しいわけ。

で、しつこいやうだけど、もう何年も繰り返し来てるわけだけど、今年は何故か、いままでやつたことのないことを、はじめたのだ。

それは、鈴鳴らし……。

小さなお社に小さな鈴がぶら下がつてゐて、ミニチュア感があつて、言ひ方の問題は棚上げして、おもちゃの様である。
なんだらう。触れてはいかんといふ気がするのね。(してゐたのね)

だけど、どういふわけか「そこにあるものは鳴り物であるゆえして、それは鳴らさんといかんでしょ」といふ気になつたのだ。
なので、鳴らし始めた。
ひもつきもあればなしもある。
ないものは直接手でとんとんとか叩いて慣らした。

その結果こんなことに。


オーマイガッ!

それは、小さなお社群の中にあつて比較的大柄。
鈴も大きめ(あくまでも小さい中でね)
しかし、ひもはついてなかつた。
なので、腕をぐいと伸ばし、スナップを利かせてとんとんっ(カランカラン)てね〜。
とした時に、着物の袖が(正月なんで着物です)お社の舞台(?)にたくさん並んどる
ミニ鳥居のひとつに引つ掛かり、落つことしてしまつた!

あら〜〜!

そそくさと元へ戻し、ひたすら『ごめんなさい』を繰り返しましたが。
はてさて2011年どうなることやら……。


ベトナムリポート(序)2011年01月17日 11時35分01秒

 1月12日から16日まで、ベトナムはハノイで「発見!日本アニメーションの魅力」といふ催しが行はれた。
 詳しくは JAPIC ジャパンイメージカウンシル を見て欲しいが、どういふわけか「みつばちハッチ」も上映してくれるといふ。
 「どういふわけか」と枕詞(?)がついてゐるのは本人の感想だが、上記のホームページを見てどんな作品が上映されたかを確認して、その気持ちを想像してみるのも一興。
 まあ、そんなことはともかく「ベトナム」に惹かれて、お願ひして連れて行つてもらつた。
 なにしろ文化庁主催だ。失礼があつてはいけない。緊張して参加した。
 といふわけで、しばらく「ベトナムリポート」をしたいと思ふ。

 と、その前に、多分知らない人が多いと思ふので、お知らせしてをきます。
 なにしろ本人も発売ギリギリまで知らなかつたし、知つたのも偶然。
 昨年末12月22日に「みつばちハッチ」のDVDとブルーレイが発売されました!
 パチパチパチパチハッチ
 知つたのはその2〜3日前です。(誰に文句を言つてゐるわけではない。面白がつてます)
 で、はたと思ひ。CDは!?
 AMAZONで調べてみたら、ちゃんと発売されてゐた。よかつたよかつた。
 今度買おっと。


 まあ、今の時代、インターネットをマメに見てゐれば大抵のことは判るわけだが、自分の監督した作品のサイトは普通見ないよな。
 そんな話を、今やつてゐるシリーズのプロデュ−サーに話したら「サントラは公開に合はせて発売しますよ!」と、あきれられた。
 そりゃあそうだ。
 
 で、宣伝だ!
 DVD安いぞ!!
 初回版には可愛いポシェットが付いてゐます。(可愛い。ぱっと見DVDに見えない。ま、DVD売り場にあるから大丈夫だけど)


 つうことで、何故か宣伝もしつつ。
 次回から真面目にレポートしたい。


ベトナムリポート1日目2011年01月19日 10時05分47秒

 蓮のマークのベトナム航空は、色合ひが独特。
 離陸スムーズ。耳抜きが苦手なので心配したが、平気だつた。
 たまたま座席のモニターが機能せず、映画が見られないが、放つておく。
 斜め前の乗客は「アバター」を見てた。
 それよりも、あいさつぐらいベトナム語でしたいと考えて、iPod で聞き続ける。
 しかし、耳慣れないので、なかなか入つてこない。これは、単に己の能力の問題だとも思ふが……。
 もつと真面目にベトナム戦争の映画を見るべきだつた。
 ベトナムは第一次インドシナ戦争から考えれば、私が生まれる前から戦争してた国だ。
 ベトナムの紀元をどこにみるかとか、そんなことをこの無学な人間が語つても危険なので、無駄な試みはさけるが、ベトナムといふ名は、越の南(えつなん?)から来てるといふことが何故か心を惹きつける。越はもちろん中国。
 ベトナム語で「ありがとう」は、「カムオン」(聞こえ方ではカンムーンぐらいに聞こえる)
 ベトナム語の文字は基本はアルファベットだが、多分発音に合はせた複合文字(?)が加わる。
 「カムオン」は「Cam on(注:aとo が、特別な文字)」真つ先に思ふのは「Come on」と同じ?
 と、いふことだが、漢字で書くと「感恩」なんださうだ。
 これで、言葉に親しみがわく。
 「ございます」をつける場合は「Xin(スィン、ほとんどシン)」を頭につける。

 飛行機は、わずかではあるが遅れて到着。
 平穏だつた耳は着陸では抵抗をしめし、左耳がぴききと抜けそうで抜けない状態になる。
 空港では、スタッフが待つてゐるのだが、荷物がなかなか出てこない。
 これはやばいなと思ひ、電話連絡を取らうとして、娘のD705i を起動させると、おお凄い!勝手に時差調整が行はれた。
 ほうさすがやなと、思つたが、肝心の電話はつながらない。

 何故?

 出発前にDocomoで大丈夫すか?と確認したのに(これはのちに手動も試みたが、結局ダメだつた。理由不明)
 でもまあ。仕方ない。
 で、出て行くと一番遅い感じ。(正確にはラス前だつたけど)
 スタッフはもちろん急いでゐる様子。手早く五千円だけ両替して移動バスへ向かう。
 バスの前でマッドハウスの丸山さんと挨拶。他にも監督2名ゐるが顔がわからずとにかく急いで車に乗り込み出発。
 もちろん文化庁の人やらいろいろゐた訳だがとにかく大急ぎ。開幕式前にレセプションもあるし、間に合はなかつたら大変。


 で。
 パンク。
 バスパンク。
 バス大パンク。
 どひゃ〜〜とスタッフ。

 そして、並走してゐた少し小型のバスに全員乗り込み再び走る。
 二台で来てよかったぁ〜〜とスタッフ。

 で。街中に入ると。

 渋滞。


 まあ夕方だし、当然といへば当然か。

 ベトナムの渋滞は、雑然としてゐる。
 信号が少ないからか……車線がないからか!?
 大体方向はあつてゐるが、ランダムに敷き詰めた感じ。
 まづ目につくのはバイクの多さだが、渋滞時は歩道も通行可(!????)なぐらいに普通に走行してる。
 凄く「自由」を感じる。
 ちなみにベトナムは、社会主義共和国。ベトナム共産党の言葉としては独裁政治になる。
 でも目の当たりに見える光景は『自由』
 一党独裁でも、かの国のやうに独裁者がゐる訳ではないからか……。

 クラクションはバンバン鳴り続けてゐる。
 でも、険悪なムードがない。
 誰も気にしてない。
 しばらくする(都合三日間の)うちに、この乱雑な、でも何か暗黙の譲り合ひによつて成立してゐる光景に畏敬の念が生じてくる。

 会場の映画館を右手に見つつ無事ホテルに到着。
 ホテルと映画館は歩いて10分もかからない距離だとは思ふが、道路の対岸なためかなりの危険(!)を伴ふので(?)その後も車で移動する。

 で、レセプションとは、何かなと思つてゐたら。
 何かしなくてはいけないのだらうか?
 と、おどおどしてゐたが。
 なんとなくの集まりだつた。
 日本語のうまい(立教大学で覚えた。つまり留学してゐた)女性と少し話す。
 失礼ではあるが、年格好から気になつたので、ベトナム戦争の時はどうしてたのですか?
 と聞くと、北朝鮮にゐた。「疎開」してたのと恥づかしさうに答えてくれた。

 まだ一日目のレポートが残つてゐるが、今回はこの辺で。

 (黄色いのは交通の公安。「警察?」こちらでは「公安」との説明)

ベトナムリポート1日目〜2日目2011年01月21日 11時24分01秒

 そうそう。ホテルに着いてチェックインの最中。禁煙部屋でたばこを吸はないサインなど求められながら、片渕監督と思はれる人物を認識。確認してあいさつをする。ま、同業なので、身なりでだいたいの判断はつくといふか、文化庁の方たちなどはスーツだし、あきらかです。で、もうひとり怪しい人物がゐて、しかしここは慎重に。
 開幕式の席順であからさまにあきらかになつたので、オープニング作品の監督、原さんにあいさつする。
 オープニング会場は広い劇場で、ほぼ満員。凄いです。
 原さんのあいさつは、訥々としてゐるが心情がストレートに伝はつてくる見事なものだつた。と……明日は自分もあいさつせねばならんのだと焦る。もちろん何も考えてない……。ベトナム語の「こんにちは」以外は……。
 上映後の質疑応答もマシンガンのやうに飛んで来る質問に、きっちり答えてました。凄い。

 と、それよりも「カラフル」の舞台が非常に馴染みのある場所だったので、不思議な感覚に捕らわれる。
 どちらかといふと幼い頃に慣れ親しんだところなのでなおさら。
 異国の劇場で身近な光景を目の当たりにする。
 ここはどこ?
 そんな個人的な感触は関係なくベトナムの観客たちは超集中のめり込んでゐました。(後の質問攻めでよくわかつた)

 さて、空港到着から怒濤のやうなスケジュールで、遅い夕食。(後で聞いたところによると時間が遅いので、軽い食事にしてくれたさうだ)主たるものは生春巻き。
 そこで、出た何気ない会話。(個人情報として誰の話であるかは伏せる)
 「薬で悪夢を見させて煙草をやめる」禁煙法。絶煙法と言つた方が正しいのかも知れないが、夜には恐ろしい方法があるものだ。
 悪夢と断煙の相関関係はよくわからないが、話を聞いてゐると「ラスベガスをぶっ飛ばせ」を思ひ出す。麻薬でトリップしてゐるときの感覚をそのまま映像化したらしい映画だ。と、記憶する。
 そのせいなのか?
 疲れで寝入りはよかつたのだが、数時間で目が覚め、その後は悪夢の連続。(内容は不明?)
 まともに眠れずに2日目に突入した。


 でも、朝のフォーはうまかつた。
 もうずいぶん前にインドネシアに行つたときにも感じたが「適温」とはこのことなんだらう。


 午前中はハノイ市内見学に出かける。
 ベトナムではおきまりのコースらしい。ホーチミン廟。
 中に入ると大変、粗相があると銃を向けられてしまうといふことで外回りにする(?)
 それでも晩年に済んだ家であるとか、見所満載。世界各国からの観光客も驚くほど多い。
 元々の植民地の兼ねあひなのかフランス人が多いやうな気がする。(勝手な想像)
 昨日空港からガイドについてくれてゐたホーさんに聞くと、連日さうらしい。
 見学できるのが午前中だけのやうで、集中するのかも知れないが、それにしても人気のスポット。
 ベトナム=ホーチミンが、歌になつてるとも言つてゐた。
 もつと他にもいろいろあるよといひたいのだらう。


 昼食。ココナツご飯美味!


 で、午後の上映。
 あいさつ考えてない……。うう。
 でも、先に片渕さんだから猶予あり。
 と、思つてゐたが、片渕さんあいさつうますぎ。
 つ〜か、なんて話し上手なんだらうといふか、通訳してもらいながらの間合ひがシロウトぢやない。
 これはいよいよ何言ふか考えんと……。と、思ふが「マイマイ新子と千年の魔法」の上映がはじまりそちらに集中してしまう。
 それでも、時々我に返り(?)考えるがまとまらず、手のひらにメモしたりするが……。
 「マイマイ……」も恐ろしいぐらいに郷愁をわき上がらせるので、困るのだ。
 しかし、これはベトナム人たちも同様のやうで、幼い頃の記憶の底といふものには国境がないといふことなんだらうか。


 はあ、そして、Xin Chao(シンチャオ。a は特殊文字)こんにちは。
 と、必死に覚へたベトナム語を口にする。
 「ハッチ」は、どこをどうみても日本製なのだが、日本のアニメーションを騙つて紹介するには舞台があまりにも不可解なので、その辺の説明(言ひ訳?)をする。といふかそれに終始してしまう。やれやれ……。
 後で、オブザーバーとして連れて来た娘に「まとまりがなかったね」と言はれる。

 さて、上映始まる。
 今回の上映はすべてベトナム語字幕である。日本のスタッフが作成。本編の映写に字幕ロールを別に映写して重ねるといふ技法だ。
 光に光を重ねるとは凄いなと思ふ。もうすでに何度もやつてゐるらしい。(凄いなと思ふ)
 ま、それはそれとして、字幕に関する打ち合はせをしてゐないので、気になることがあり、確認したかつた。
 さほど気にしないとは思ひつつ、やはり、違つてた。ベトナム語は読めないけど、セリフとして認識して欲しくないところにも字幕があつたので、気を利かせてわかりにくい音声を解読してくれたのだろう。
 でも、仕方ない。ベトナムの地で上映されることに意義があると思ふ。
 それよりも楽しかったのは、上映中見事に音声が途絶えたことだ!
 回復したから楽しいなんて言へるが、そのときは焦りました。これは字幕がどうかういふことではないものね。
 でも、無音で楽しめるかどうかは映画の本質に迫る重大なことだとも言へる。
 正直、音が無くてもなんとか見られるところだつたので助かつた。

 ところで、エンディングが始まると席をたつてどんどん帰るといふのが、ベトナム人の映画鑑賞の仕方らしい。
 日本でも、わりと最近までさうだつたと思ふ。入れ替へ制が主流になつてから変はつてきたのかなと思う。
 あるいは、エンディング後にも映画的罠が仕掛けてあつたりとかあるので、立つ人は減つてきた。
 でも、ベトナムではまだ席を立つのが主流。
 今回は、上映後に質疑応答もあるので、片渕さんは、「エンディングにも技があるので見てね」とケアしてゐたが、ぼくは忘れる。
 「ハッチ」こそ、エンディングラストにワンシーンあるのだが、いろいろ訳があつて(?)言はなかつた。
 なんか満足していただければそれでいいといふ思ひもあるのだ。
 だけど、バタバタバタと去られると、ほんのり寂しくはある。
 一応質疑応答あるし……誰もゐなくなつたら、それはそれで、まづいんでないかいとかも思ふ。
 そんな、そこはかとない寂しさの中、立ち去る途中でぼくの目の前に来て、親指をぎゅん!と上げてくれた女の子(多分ハイティーンね)がゐた。一瞬逆光で見えにくかつたが、下げたのではなくちゃんと上がつてました!
 笑顔と意味不明な連続頷きで返事する。(うれしいといふことです)

 それで、満足してしまつたが、最後まで残つてくれた人もゐました。
 ので、やはり気になつたので、逆質問といふか、ハッチとアミィの言葉が通じなくなつてゆくのが判りましたか?
 と聞くと、どうやら判つてくれた様子。よかつたよかつた。

 ひたすら感じることは、みんな一生懸命見てくれてゐるといふこと。
 何一つ見逃すまいといふ意識を感じます。それは、映画の技を見抜いてやるとかさういつたことではなく、映写されてゐるもに素朴に集中してゐるといふ感じ。
 だから、終はつた!と思つたら帰つていいんです。「やつと終はつたよ……」では困りますが……。

 2日目、まだありますが、今回はこの辺で。