やつと読み終はる2011年02月06日 08時45分17秒

舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日」
ぶ厚い上下2巻(しかも、下巻は書き下ろしなの?)
読み始めからすると2年はかかつたけど、下巻はほぼ一気。
つまりぼくにはこの書き下ろしがなければダメだつたといふことね。
連載だけ読んで納得した人は凄いと思ふ。
そして、困つたことに読後感も「凄い」としかいへないのね。
なんといふボキャブラリーの無さ。
この人の小説に初めて出会つたのは「世界は密室でできている。」風呂場で泣きながら読んだのね。
「泣ける作品」=「いい作品」といふ考えは、無意味といふか、断固異を唱へ続けてゐるつもりだから『泣きながら読んだ』といふのは、単に、状況を説明してゐるだけで『よかつた』ことの説明ではないからね。
まあ本来『泣ける作品』として存在してゐるわけではないから、要らぬ心配かも知れないけど。
とにかくぼくはのめり込んで引き続きその前に出てゐる作品「煙か土か食い物」「暗闇の中で子供」と立て続けに読んで「凄い凄い」を連発してた。
でも一番好きなのは「世界……」これはいまでも変はらないけど、作品はどんどん変化してゆく、いや変化してゆくといふのは、間違ひなので、むつかしいところだが、少なくとも読み手へのパンチの入れ具合が豪快に変はつてゆく。
「熊の場所」で、油断させてをいて、「阿修羅ガール」パーンチ!とか。
ちなみに当時(すでに文庫化されてたから2005年以降だな)一緒に仕事してた奴に、お勧めの本は?と聞かれたので、舞城王太郎と答えたら、彼は選りに選つていきなり「阿修羅ガール」を読んでしまつたがため、その打撃に「ぼくには読めません」作家になつてしまつた。入り口は大事だよな。これが、「九十九十九」とかだつたら、ただわけがわからないだけで、逆に傷は少なかったかも知れないのに……。
てな感じで、安直な共感や快楽を求めて読んではいけない小説を繰りだしてくる。
かくいふぼくもかなりの期間ダウンしてゐた。
「好き好き大好き超愛してる。」「「みんな元気」と順繰りに読んでゐたのに、何故か「SPEEDBOY!」を読み損なつてゐて、先に「ディスコ……」に入つてしまつたのが敗因だと思ふ。上巻を読むのにえらい時間がかかり、図書館で何度も延長し、なんだか疲れてしまい休読してしまつたのだ。
でもでも「世界……」を愛した人間としては、このまま離れるわけにはいかない。なので「SPEEDBOY!」「ビッチマグネット」と読み、読める。ぼくはこの人の小説を読める!と自信を取り戻し、読み終へたのだ。
「SPEEDBOY!」を読んでゐると「ディスコ……」はよくわかる。
(まあ、上巻との戦ひは別かも知れないけど)
有り体の言ひ方をすると表現の限界を超えてゐる。どこまでもどこまでも本来あるべき姿といふ実は誰も表現して来なかつた(避けてきた。文字でも映像でも不可能な)ことをたたき出してゐる感じがする。
そのためには少々破壊的になるのだと思ふ。
この人の小説を読むと『現実を形成してゐる何か』を信じたくなるのだ。
次は「獣の樹」かな。