のろいのスローリバー ― 2005年06月01日 10時26分52秒
SLOW RIVER ニコラグリフィス著、幹遙子訳、ハヤカワのSF文庫。
翻訳物で時々ぶつかる苦手な語り口だつたので、少々手こずる。回りくどい様な、読み手の想像力を試されてゐる様な感じ。500ページぐらいの本で、半分ぐらいから話も佳境!?に入り、ミステリー色も明確になり、主人公の現在までの時間を3ブロックにわけ、並行して語つて来た事象が結実しつつ、さらにどんでん返しもあり、と、どんどん面白くなるはずが!?ぼくの中ではどんどんどんどん別の作品のイメージが増幅してくるのだつた。
それは童話で、タイトルは「アリーテ姫の冒険」数年前アニメ映画が公開されたので、聞いたことあるでせう。見た?ぼくは見てません。なので、以下の話は原作の話です。
原作はダイアナコールス。童話と書いたけれど、正確にはフェニミズム童話です。キャッチフレーズは「待っているだけのお姫様はもう古い」とかなんとか言ふものだつたと思ふ。その言ひ草がもう古いんでないのと思つたから多分合つてると思ふ。しかし、内容はびつくりするものだつた。イギリスのフェミニスト恐るべし。それは「シンデレラ」とか、「眠れる森の美女」など既存の童話に対する明らかな敵意で語られてゐた。このぐらいでないとフェミニズムは成り立たないのだ。
と、それほど男を敵視した作品を男が作る?スタッフに女性ゐたけど、そもそも企画持って来たの男だ。まあ、先ほどのキャッチフレーズを基軸にすれば可能だけどね。作品の本質は少々違ふ。アレンジとすり替へは違ふ。原作をやるならやはり原作にこだわらんとね。
スタッフ一同、出版に関はつた女性フォーラムの知的で普通のご婦人方たちとも話しました。彼女たちは男女問題を特に暴力否定の角度から捕らえてゐましたつけ。あれこれ話し、最年長の方に「あなたはまだお若いから」とか言はれましたつけ、あのときのこと最近かなり理解できます。(何のことかは、内緒)
そして、考えた末。作品の本質を消さず、かつ老若男女が見ても問題ない!?「アリーテ姫の冒険」とは何か!出した結論は「POP OPERA ARETE」(つづり忘れたど確かこんな)どう?興味わかない?
ミュージカルです。シナリオまで書いたのだ。まあ、大したシナリオぢやなかつたけど、ミュージカルだから、シナリオぢやわからんのよ。完成してたら「ロッキーホラーショー」(しまつたマイナー)や「ジーザスクライストスーパースター」はたまた「オズの魔法使い!」を越える怪作になつたはずなのだ!(消えたから言へる暴言)
まあ、そんなこんなもなく、企画は宙ぶらりんになつたんだな。
と、「アリーテ姫」が消えないまま「スローリバー」読み終はつてしまいました。そして、不可解なことに終幕後に「著者付記」と言ふのがあつて『女性が虐待について書く時‥‥‥(勘違いするやつがゐるとあかんから言ふとくけど)‥‥‥フィクションであって、自叙伝ではありません。わたしが創作したものです』なんて書いてある。「誰もそんなこと思つとらんわい!わしはアリーテ姫が抜けんで困つとるだけや!」と思はず突つ込んでしまいましたが、解説を見て、氷解しましてん。
この本、表と裏に「ネヴュラ賞受賞」と書いてあります。くわしいことは知りませんが、SF小説に送られる賞です。(よね?)で、よく見ると、カバーの折り込まれた部分(著者紹介)に「ネヴュラ賞とラムダ賞を受賞」と書いてあります。
ラムダ賞。知りません。解説を読み、さらに調べるとゲイ&レズビアン文学の年間最優秀作品に贈られる賞なんださうです。なるほど。
作者のニコラさんはカミングアウトしてゐるさうで、それが、どこかに現はれてゐたのでせう。この人の作品はボーダーレスと言ふか、狭い枠組みから外れたところでも評価を受けている(ネヴュラ賞受賞)やうですが、ぼくをアリーテ姫地獄に落としたことを考えればまだまだですな。
こんなことを言つてゐると差別主義者として見られてしまいますが、確かにぼくのDNAには少量ですが間違ひなく流れてます。感じます。(カミングアウト!)でも、乗り越えてますよ。「真夜中のパーティ」大好きな作品です。数年前に見た「ショーミーラブ」と言ふスウェーデン映画は、瑞々しくて愛らしい映画でした。サントラも買つてしまうぐらい好き!セリフ入り!!
ふと思ふと「ショーミーラブ」と「スローリバー」のラストシーンは相通づるものがありますな。とつても開放的で希望に溢れるラストなんだ本当は!先に解説を読んでゐれば、もつと感動できたかしら?やや残念。
でもなあ、「ショーミーラブ」がそんな映画だと知らなかつたしな〜。でも「アリーテ姫」は出て来なかつたし〜。
もつと深い根源的な問題があるんだな。まだまだ乗り越えてねえや。
イメージ再現するとこんな感じ。(キャラ担当は当時まだ新人だつた近藤優次君。大変可愛くユニークなキャラクターデザインが上がつてゐたよ)
ぼくは当時コンピューターを使ひ始めで、使ひたがり。カラーで企画書の表紙を作つたのだ。その後何度もHD破損事件が起きているのに、そのファイルらしきものが見つかつた!昔はバックアップをちやんとしてゐたんだな。感心感心!
しかし、開かない!Photoshopだめ!そのたの描画ソフトでもだめ!多分、PixelPaintProのファイルだと思ふんだが、古いマシンとシステムでないと開かない!?そんなのね〜よ。
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