17歳&67歳& ― 2005年09月11日 20時41分14秒
だんだん記憶が薄れてきたんだけど『17歳の風景〜少年は何を見たのか』と、そのメイキング『67歳の風景〜若松孝二はなにを見たのか』 え〜と。 |
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『死神の精度』のことを書いた時に触れた「同じ事件をモチーフ」にしたのでは?と言ふのは、2000年、岡山で母親をバットで殺した17歳の少年が自転車で旅立ち(逃走?)16日後に秋田で捕まつたと言ふ事件。実のところ『死神の精度』はだいぶ違ふ、しかし、北へ向かうところが同じだ。映画を見た時期と本を読んだのが、近かつたせいで、無理矢理ぼくの中で結びついたのかも知れない。 で、映画だ。 ぼくは「若松映画」世代ではないのだが、ないと思ふが、昔のまんまだと思つた。景色だけが、今を感じた。 |
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ばつさり言つてしまうと、見て楽しむ映画ではない。見て考える映画だ。見る必要すらないかも知れない。考えさせられる映画ではなくて、考えてしまう映画だ。誰も強要はしない。どちらかと言へば退屈で、寝るか考えるかするしかないのだ。ぼくは少々寝てしまつた。 『少年は何を見たのか』と副題がついてゐるが、それの答えはもちろんない。少年は最後まで語らないからだ。ひたすら自転車で移動し、夜が来たら休む。時として人に会ふ。自分のことは話さない。その繰り返しだ。時折、バットを振るふ姿がインサートされる。相手は見えない。 物語のあり方としては「やっちまった少年が、行く先が見つからず飛び出して、移動して行く間にさまざまな人と合ひ、何かを見つける」と言ふわかりやすいものだ。でも『何か』は提示されない。17歳の少年なら、この映画の中から一生懸命探すと思ふ。その力は感じる。でも、ぼく、さすがに17歳は遠い。実は、最後に少々わからないな‥‥‥と思つてしまつた。 |
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と『67歳の風景』を見ると、意外な答えが出てしまう。 このメイキングはいささか問題だ。 始めは1時間を越す長さを想定して作つてゐたらしいが、検閲(おそらく若松検閲)が入り、40数分のものになつたらしい。 このメイキングの問題は、いくつかあるが、ひとつは「結構面白いこと」この映画にこのメイキングはどうなのよ?と言ひたい。 ひとつは「若松孝二が面白いこと」映画より監督が面白くなつては大変だ。 もうひとつは「若松孝二の演技指導を拾つてしまつたこと」この映画に限り、少々まづいのではと思ふ。これで、安心してしまう人もゐるとは思ふが。 |
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「少々わからないな」と言ふ気分へのアンサーが、あつたのだ。実のところ、それが知りたい気持ちがあつて『若松孝二は何を見たのか』を見たのかも知れないが、なんだか複雑である。 若松孝二は「開放感」と言ふのだ。やはり過激な男だ。 かつて(今も)国家がやつてきた(ゐる)大犯罪にくらべたら、母親殺しなんて子供が成長するためには通らなければならない道なんだ!(しかも本来なら母親でなくて父親であるべき!)と‥‥‥まあ、そこまでは言つてないが、近いことは言つてゐる。 |
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ぼくは17歳の頃と言へば、新宿に高校があつたので、学校の行き帰りによく映画を見た。(よくと言つてもまあ、常識的に。どちらかと言へば真面目な高校生だつたので、ほどほど)当時は120円で2本立てが見られたのだ。値が上がつた後も150円だつた。授業をサボッて見に行つて、同じクラスの奴らと偶然合ふこともしばしばだつた。 |
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ここにある写真は17の頃撮つた写真だ。新宿だ。 姉が大学で写真部に入つてゐたので、現像してもらつたのだ。つ〜か、カメラも姉のだ。 |
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