Lost Boys ― 2005年09月12日 09時30分01秒
「消えた少年たち」オースンスコットカード著。小尾芙佐(おびふさ)[訳]ハヤカワ文庫SF。 大変珍しく上下2巻の大作を一気に読んでしまつた。まあ一気と言つても1週間ぐらいだが‥‥‥。通常だと、2〜3週間はかけて読む量です。 |
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会話が多く読みやすかつたとも言へるんだが‥‥‥‥‥‥、面白かつたのではないの?と言ふ自問もしてみるが‥‥‥‥‥‥、とにかく早く読み切つてしまいたかつた!と言ふのが、一番近いのではないかと思ふ。 それにしても、それを持続出来たと言ふことは、少なからず面白かつたからでしょ?つまらなかつたら途中で嫌になることもあるぢやない。と、また自問してみる。
一体何を言はんとしてゐるのか?
結構やつかいな小説だつたんである。
突然自分のことで恐縮だが、ぼくの作りたい作品の目標と言ふか理想は『いい人しか出てこない作品』なんだ。何も無理矢理悪い奴を作つて出すこともないだろと思ふんだ。それは現実的でないとか、説得力がないとかいろいろ意見はあると思ふがね。作りもんなんだからいいぢやないと思ふ。ちなみに『いい人』ね。『善意の人』ではないんだ。また曖昧な表現だね。人によつて解釈が変はりさうな、危ない比較だね。でも、とりあえずこれ以上説明するのはその時が来たらにするわ。 |
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ま、話を戻して、と言ふかなんでこんな話をしたかと言ふと『消えた少年たち』ね。嫌な奴か、悪い奴か、病んでゐる奴しか出てこないの。あつさり言ふと、みんな病んでゐるって感じ?(「?」でもつけないとゐられない)よくもまあ、これだけ嫌なシチュエーションを考えられるなと感じるんだけど、確かにリアルだね。おそらくほとんど『事実』なんだろ。 現実にはよくあることなんだね。それはわかるよ。だけどね〜‥‥‥。 あ、ひとつ付け加える。『10歳以上』ね。10ぢやあれだから14歳ぐらいにしておかうかな?その歳以下の登場人物はいい悪いの判断から除外。「消えた『子供』たち」だからね。 主人公の夫婦の言つてゐることとか、正しいと思ふし、共感も出来るんだが、どうもね〜‥‥‥。なんか不愉快さが拭へないの。二人ともにそれぞれ気持ちはわかるんだけど、やたら喧嘩するし、凄く理屈っぽいの。ぼく自身『理屈っぽい』と言はれた経験ありなんだが、ボキャブラリーがね。足りないので、とことん行けないのね。でも、この主人公は違ふんだな。行くんだなどこまでも、正しいとは思ふんだが、独りよがりに思へてしまうこと多々あり。 |
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作者も主人公もモルモン教徒と言ふことで、それはわかるんだけど、何故か『モルモン教との弁解書』とも思へてしまうんだ。弁解する必要などないだらうし、ありえないけど、何故かさう受け取れてしまつたりする。ぼくはに信仰がないので、わからないんだけどね。
読み終はつた時と言ふか、もうすぐ読み終はるころ、これは短編のネタだなと感じた。短編だつたら面白かつたと素直に言へるのではないかと思つたんだ。それを、長編にして、嫌な事象で埋め尽くしたんだ‥‥‥。でも、確認したら冒頭に短編が先にあると書いてあつたよ。おいおい1週間で忘れるなよ〜。
と、実は子供以外にもう一人だけ例外がゐるのだ。
と、そんなこんななんだけど、話そのものはね、面白いと言ふか‥‥‥、いい話と言ふか‥‥‥(良いと言ふ言ひ方は違ふかな)感動的な話なんです。それを書く訳にはいかないけど、原題が『Lost Boys』なの。英語わからないのに類推して言ふと『"消えた"子供たち』と言ふ日本語題と比較して『"Lost" Boys』の解釈の幅を広げて考えてみると、なんとなく見えてくるものがあるのではないかしら。人によつては涙ちょちょ切れる話だと思ひます。 |
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ところで、子供が消えると言ふと『最後通告』と言ふスイス映画を思ひ出すな。終はりのない映画。それから『パイドパイパー伝説』そして、女子高生がどんどん消えてゆく『聖ルミナス女学院』? そんなこと連想してゆくと『パイドパイパー』と言へば、ネビルシュートの、これから年寄りになる人と年寄りには、それこそジーンときちゃう小説が浮んぢやうね。 |
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