ボーイソプラノイズ2005年09月28日 20時00分42秒

 ぼくは声が高い。
 最近はあまり言はれないが、大人に成り立ての頃(!?)はよく声変はりしてないんぢゃないの?とか言はれた。
 しかし、一応してる。とはいへ確かにあまり自覚症状もなかつた。変声期に声がガラガラになつてしまう奴とかもゐるが、ぼくは、知らず知らずのうちに微妙に変はつたのだと思ふ。
 つまり幼い頃はかなり激しく声が高かつたと言ふことなんだな。
 昔々、ずいぶん昔。幼稚園に行く頃は、男女混ざつて遊んでたわけだが、近所の女の子のうちで騒いでゐたとき、その子のお父さんに「うるさい!」と怒鳴られたことがある。で、女の子ばかりで遊んでゐると思つたらしい。ぼくを見て驚いてゐた。一番大きくて一番高い声ではしゃいでゐたのがぼくと言ふわけだ。それ以来その子のうちはほとんど出入り禁止になつた。
 幼いながら結構ショックな出来事ではあつた。

 でも、確かに声の高い男がわめくとうるさい。
 と、思ひ知らされた。
 「ナッシング」と言ふ映画を見て来た。
 低予算アイデア勝負の映画だつた。
 辛かつた。ダメ男二人が、嫌なものすべて消してしまうと言ふ超閉鎖的作品だが、引きこもり役の男性の声が、高かつた。平静時はさほどでもないのだが、ヒステリックに喚き捲るシーンがほとんどで、ぼくの神経はささくれ立つた。自分の事は完全に棚の上に固定して、滅茶苦茶燗に触つた。あきらかにコメディとして作つてゐるが、笑へるはずもなく。(シニア夫婦の旦那さんが、そこかしこで笑つてはいたが)音楽の入り具合も騒音ぢみてきて、中ごろ過ぎた辺りでとうとう気分が悪くなつてしまつた。出やうかな‥‥‥‥とも思つた。水曜のセゾン系はオール1000円なので、出ても損はないか‥‥‥‥。でも悔しい。と苦痛に耐えながら、耳栓を持ち歩いてゐることを思ひ出した。

 ごそごそとカバンから取り出し、耳にはめた。
 おお!丁度いいボリューム!これで最後まで見られる。
 となんとか事なきを得て?エンディングの後まで無事鑑賞。エンディングの後にオチがあるのです。親切に場内アナウンスで最初に教えてくれます。この映画は最後まで見た方がいいですよ。楽しんで下さいと、まあ教えてくれたわけです。
 だけど、そんな訳でぼくは楽しんだとは言ひ難ひ結末を迎えてしまいました。

 ふう‥‥‥‥。最近ぼくは大声を出すことはあまりなくなつたと思ふんだけど、こんなにも生理的にくるんだなと‥‥‥‥、注意しよっと。