続、小屋にスコッティ2005年10月06日 11時57分09秒

 少なくとも20年頃前、まだ世界は謎だつた。

 んぢやないかな?(30年前にしとく?)

 今もホントは謎だらけだけど、気にされなくなつた。いや、珍しいものではなくなつてしまつた。どこへ行つても人間がゐて、多かれ少なかれ「同じだ」と言ふことにされてしまつた。
 フイルムで記録してゐたころは、寒すぎると凍りついてフイルムが回らなくなつたりして、冬の北極や南極の撮影が困難だつた。
 記録映画のクストーとかピエールドミニクゲッソーとか、少々偏見には富んでゐるが、世界には色々なところがあるのだと説得力を持つて語る人がゐた。かなり偏重なヤコペッティもゐた。
 さて、ビデオ機材の発達でかなり自由度があがつた。
 交通機関の発達で、および、旅行社の業績と功績で、世界はどんどん近く安くなつた。「秘境」はどんどん追ひやられた。テレビで、パリもパタゴニアも隣り合はせになつた。(パリとパタゴニアと言ふ比較の仕方にかなりの意味がある。パリは都市。パタゴニアはチリとアルゼンチンに渡る地域の名前だ)よく空港などの一般インタビューで「どこへ行ってきたんですか?」「パリー!」「楽しかったですか?」「サイコー!」なんてのがある。「ではパリを地図で指してください」「え〜?どこかな〜?ここ?」と、エルサレムを指したりする。これは受け狙ひのヤラセではない。最近は誰でもテレビの愚かさを知つてゐるから、わざとやるケースもあるにはあるだろう。バカをやるとウケると知つてゐるからだ。テレビカメラの力なのだ。テレビカメラの前ではウケることをしなければならないとパブロフの犬のやうになつてしまう一般人は大勢ゐる。
 でも、繰り返すけど、リオデジャネイロとフランスが隣同士でも構はない人はたくさんゐる。

 う〜ん。「小屋にスコッティ」は書こうとすると、どうも偉さうな内容になつて困る。ぼく自身、小さい頃からアフリカの国々を把握することは放棄したし、ソ連崩壊で、混乱の極みだ。
 ただ気にしなくなるのは困るなと思ふんだ。仙台があるのは宮城県と言ふところなのだ。東北にあるのは間違ひないけれど、いつか宮城県が消えてしまうのではないかと心配する。(すまない。かなり誇張した)

 で、たつた今現在の心配は、話が全然思つた方向へ進まないことだ。

 あれ?

 もつとちやんと計画しなきゃ。
 は、金貸しのCMだが、言つてゐることは正しい。

 なので、またタイトルの説明だ。「続、小屋にスコッティ」とは「ポワカッッィ」のことだ。ポピ族(アメリカ先住民)の言葉で「ポワカ」は黒魔術。「カッッィ」は生き方なのださうだ。それを合成したのは、この映画を作つた監督の技なんだと思ふ。「自己の繁栄のために他人の生命力を食い物にする生き方」と説明してゐる。
 カッッイ三部作の二作目。一作目「コヤニスカッッィ」に引き続き、音楽と映像と『タイトル』だけで、語り切ると言ふ偉業を行つてゐる。しかし『タイトル』の説明をするのはラストだ。ただ残念なことに情報にて先に意味を知つてしまうので、やや先入観で見てしまう。(多分作り手は気にしてないし、好都合と思つてゐると思ふ)「コヤニス」は北半球、「ポワカ」は南半球と言ふ概念で作つたらしいが、「コヤニス」はアメリカ的であり、北半球育ちのぼくとしては、現代社会そのものと言つた感想がある。21年前の作品である。
 何年前か忘れたが、輸入CDでPOWAQQATSIを買つた。ジャケットとタイトルを見た瞬間に続編だと思つたからだ。でも読めなかつた。ポワキュキュアツチ?(コヤニスカッツィの音楽と同じ様に「ポ〜ワカッチ〜」とコーラスが入つてる曲があるので、聞いてから『ポワカッチ』ぐらいにはわかる)
 それはともかく待てど暮らせど、映画が公開されない。
 まあ、確かに公開はしづらい内容かもね。「コヤニス」は六本木シネヴィヴァンつうところで単館上映したのね。六本木シネヴィヴァンが無くなつたのが六本木ヒルズの開発のためか、ただ単に客が入らなかつたからかは知りません。
 そして、ついに、昨年フィリップグラスの来日して「コヤニス」と「ポワカ」の二本を生演奏上映をやつたのだ!
 『!』なんてつけたのだが、行つてないのだ‥‥‥。
 はあ〜‥‥‥。残念でした。去年はね〜‥‥‥。いろいろ事情がね〜。
 と、まあ、それはともかくDVD購入です。変な言ひ方だけど、新鮮に蘇つたな〜。CDよく聞いたもんな〜。マスタリングがあきらかにCDよりいいのね。迫力でした。ことに冒頭(金鉱の泥運び人たちのところ)は凄かつたな〜。
 ただ、南半球とザックリ言ひ切つてはゐるのだけど、それは地理的な問題ではなく、いはゆる「北の論理」の時の「北」に対しての「南」ですね。インドやエジプトも出てきます。そしてね、テレビで世界の位置関係がどうでもよくなつてしまつたと書いたけど、「ポワカ」はそれとは違つてね。それを越えてね。次から次へと国々が移り変はるんだ。エンディングを見るまではどの国で撮影したのかわからないのだ。位置関係そのこと事態に意味はないんだ。十把一絡げで「南」だからね。(あれ‥‥‥貶してるやうに聞こえる?)
 この映画はドキュメンタリーであり作為的映画でもあるんだね。一カ所だけヤラセを発見しました。(メイキングで監督も白状!?してる)ただ、これは、ドキュメントの立場を壊すものではないよ。
 写真学校に行つてゐるときに課題で撮つたドキュメンタリーを思ひ出すな。町の風景を撮る時に学校帰りの小学生を「合図したら歩いてね」とヤラセたつけ。
 ぼくは「コヤニス」より「ポワカ」の方が好きかな。おそらく「コヤニス」の時は三部作のつもりはなかつたのではないかな?完成度が違ふ。「ポワカ」は、どこか中途半端な感じが漂ふんだが、人間味があつてね。そこがいいんだな。撮影は「ポワカ」の方が遥かに大変だつたのではないかな。
 さあ!次は「ナコイカッツィ」だ!見るぞ!見たら「コヤニスカッツィ」へ戻つてみやう。

 バリは地理的にも南半球だね。
 冒頭の写真は、北半球日本国の公園の池だね。「ポワカッツィ」の水面の画像がきれいでね〜。