群盗荒野を裂く2006年03月05日 20時49分24秒

これは『ラストマンスタンディング』のつもり。

 録画しておいた映画を見た。
 あまりにも面白かつたので、少しマカロニウエスタンについて調べてみた。
 と言つても、PSCといふところで発行した『マカロニウエスタン[復讐と快楽の美学]』といふムックと、洋泉社発行の『マカロニアクション大全 剣と拳銃の鎮魂曲』(著者 二階堂卓也)といふのを見ただけなんだが‥‥‥。(両方とも編集が石熊勝己さんといふ人。初めて気がついた)『マカロニアクション大全』は分厚い本で、マカロニウエスタンだけでなく、史劇からスパイアクション、ホラーに至るまでイタリア製娯楽映画を集大成した力作。重いです。(内容と関係ありませんが)猫に引つかかれカバーがズタズタになつてしまつてゐます。二階堂氏は『[復讐と快楽の美学]』の方にも記事を書いてゐます。

 と、2冊紹介しておいて、それはそれとして、マカロニウエスタン第一作『荒野の用心棒』が日本で公開されたのは、1965年といふことです。1965年とは東京オリンピックの翌年であります。1964年10月10日が、東京オリンピック開会の日でありまして、ぼくの9回目の誕生日でもありました。自衛隊機が、五色五輪のシンボルを青空に描いたことを記憶しとります。駒沢競技場は、小学生の遊びエリアでありました。
 日本が国際的に躍進せやうとし始めた頃ですな。
 オリンピックは世界の祭典であつたわけです。エチオピア=アベベ、オランダ=ヘーシンク、チェコスロバキア=チャスラフスカなんてね。世界の国からこんにちは。
 にも関はらず。世界情勢歴史。小学校の社会科でどのくらい習つたのですかね〜?いや、これから話すことはすべて勉強しなかつた本人の問題で、教育の問題ではありませぬ。

 何の話かといふと。
 マカロニウエスタン初公開が1965年でも、まだその頃は映画は、漫画映画と怪獣映画にしか興味がなかつたと思ひます。そもそも西部劇に興味が出たのは中学に入つてから、鑑賞のほとんどがテレビ。映画でももちろんテレビドラマでも。だからマカロニウエスタンもテレビで見た。マカロニがイタリアを意味することはわかつてゐましたが、一つなかなかわからなかつた事があります。
 それは‥‥‥‥‥‥。
 イタリアにもああいふ『時代』があつたのだ。
 と、思ひ込んでゐたこと‥‥‥‥‥‥。
 いやあ、歴史もへつたくれもありませんな〜。
 『続夕陽のガンマン』を見れば南北戦争出てきますからね〜。
 見てなかつたんですね〜。
 そうかな〜?
 つまり日本はいはゆる『時代劇』で、お侍が刀振り回す時代があつたやうに、西洋(イタリアどころではない!)では、テンガロンハットかぶつたガンマンが銃を撃ち回す時代があつたと思つた(考えた)わけですね〜。
 いや〜〜〜〜〜無知。
 いつ頃理解したんですかね〜?
 アングロサクソンもラテン系もゲルマン系もヘチマもなかつたんですな〜。
 英語もイタリア語もフランス語もおんなじ外国語ですけんね〜。もつともテレビは吹き替へだし。

 ま、で、『群盗荒野を裂く』です。
 これはメキシコ革命ですよ。いやあ〜映画つて勉強になるな〜。
 マカロニウエスタンは人種の類似によりメキシコを舞台にした方が、楽に出来たやうですな。(もつとも極東の子供にはどうでもよかつたんですが)主演はジャンマリアボロンテ、イタリア人。その弟役にクラウスキンスキー!ドイツ人弟!!(これに関しては母親だか父親だかが違ふと説明あり!)今回キンスキーさんは地味な役で出番は少なかつたですが、恐い怖いコワイ系ではなく微妙に可愛さも出すといふ、さすが演技派いい味出してました。ボロンテさんの相手役といふか、もう一人の主人公がルーカステルといふぼくは知らない人。アメリカ人の賞金稼ぎの役ですが、まあ、アメリカ人と言はれればさう見えなくもない人です。
 この二人のやり取りが、緊張感あり、切なくもあり、そして‥‥‥ラストがね〜。原題が『QUIEN SABE?』何故殺すのか?といふ意味のやうです。
 ボロンテさん演ずる学の無い盗賊頭チュウチョの、揺れ動く心の動きが素晴らしい。殺しもするが優しい男?自分の失態をしれば死刑にしてくれと素直に言へる男。
 見ていて思はず「この映画何よ!」と叫んでしまいました。つまり説明すると『くだらないけれど面白くはあるだらうと高をくくつて見たら、とんでもない、滅茶苦茶すげえぢやん!と驚いてしまつた』といふこと。
 この映画DVD出てますぜ。

 と、ところで、何故『ラストマンスタンディング』かといふと、ご存知とは思ひますが、マカロニ第一作の『荒野の用心棒』は黒澤の『用心棒』の盗作だと騒ぎになりました。なので?『ラストマンスタンディング』ではちゃんとオープニングに「黒澤明の用心棒」が原作だと出てます。
 でもさあ『用心棒』は面白いと思ふけど、あきらかに『血の収穫』ぢやん。『天国と地獄』では、原作エドマクベインとなつてゐるのに、なんで『用心棒』はダシールハメットではないの?と常々疑問に思ふとります。
 だから『ラストマンスタンディング』は、ハメットの原作を翻案した黒澤映画のリメイクとするべきなんでないの?

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック