だらだらと歩いたことをだらだらと2006年03月18日 23時55分15秒

 雨が降つてゐるやうなないやうな中を、世田谷通りと環状七号線の交差点あたりから北へ向かつて傘をささずに歩き出す。折り畳み傘が背中のリュックの脇のポケットに刺さつてゐるのだが、昼間少々厚着過ぎたコートと、婦人用でつばの大きいデニムの帽子を被つてゐたので、わざわざ折りたたみを広げる気にもならず、小雨ほども降つてはゐない雨はほとんど感じない。
 しばらく行くと、東急世田谷線にぶつかる。二両編成の昔「玉電」と呼ばれたのどかな電車だ。環七とは信号で交差してゐて、電車も赤信号で止まる。踏切は無い。土曜日曜になると、アマチュアカメラマンや、電車マニアが写真を撮りによく来てる。いつ頃か?車両が変はつていまいち風情がなくなつたが、それでも、目の前を二両編成の電車が過ぎるのは趣(おもむき)がある。
 線路が道路を横切つてゐて、なんとなく解放感がある。無法者の自転車は信号を無視して渡るので、電車の操縦士は大変だ。青信号でも必ず警笛を鳴らしてから道路へ出てゆく。道路の西側にすぐ「若林」といふ駅があり、ぼくはよく利用する。いつも環七内回り側の歩道を歩くので、駅へは下り電車と同様道路を渡つて行く。けふは目の前を横切りる電車が見えた。が、ちょうど信号が変はり際で点滅を始めてしまつた。走れば間に合ふのだが、いつの頃からか、駅やバス停へ走るといふ習慣がなくなつてしまつたので、しつかり信号も赤くなつた。
 コースを説明せやう。
 前にも逆コースで説明したことがある。傘を忘れた話のときだ。若林は出て来なかつたかも知れないか?
 まあ、説明する。世田谷線で若林から下高井戸。京王線に乗り換え明大前へ、そして井の頭線に乗り換え吉祥寺だ。
 さて、下高井戸までは15分ぐらいである。次の電車を待つのは4、5分か。結構次々に来る。でも、そのまま歩くことにした。環七をこのまま北上すると、小田急線があり(最寄りの駅は「世田谷代田」線路は道路の上を行く)さらに行くと井の頭線にぶつかる。道路沿ひに「新代田駅」の改札がある。線路は道路の下を通る。なんとなく歩いてゐると着く。なんとなくとはいへ環七沿ひに排気ガスを吸ひながら30分ぐらい歩くことになるのだらうか?あまり健康的ではないかも知れぬ。でも、空気が幸い?湿つてゐるし、気にせず歩く。お彼岸で、今日から4連休なんてところもあるのだらうか?車は混雑してゐる。さういへば朝のバスも混んでたつけ。車内も外も混雑で、なかなか吉祥寺へ着かない。いつもは駅前まで乗るのだが、けふは一つ前で降りてしまつた。
 と、若林陸橋といふところで、強烈なクラクションの音。
 そこにゐた2、3人の歩行者がハッと見た。するとこちらへ向かつてくる原付バイクと、それと90度の角度で直進するトラックが見えた。バイクの発進が遅れたのだらうか?あるいは飛び出したのかな?いづれにしろトラックの運転手さんは混雑でいらついてゐるのだらうね。原付バイクの男性はバツの悪さうな表情で過ぎて行つた。
 小田急線は説明した通り折角高架なのだが、何故かその下は混む。南から北へくぐると3車線が2車線になるといふのが主な原因だと思ふ。混むといふよりも溜まる感じだ。南側に交差する道路もあり、さほど大きな道ではないが、環七へ乗り込んでくる車が多い。かうしてどんどん溜まる。最近は工事もしてゐて、夜など、1車線になることもある。
 その脇道も混雑してゐて、丁度ぼくの前に差し掛かつた車が、前へ出られず、横断歩道の上で、赤信号になつてしまつた。状況は見えてゐたので、仕方がないと思つたが、車は申し訳なささうにニジリニジリとわずかに頭を振つた。はつきり言つてそのまま止まつてゐるのと変はりはない。おそらく「ごめんね」といふ動作なのだらうと思ふことにした。奥ゆかしい車だ。いやドライバーがか。
 高架の下に歩行者通路もあつたと思ふが、少しの間だけ脇道に入る。以前は高架下の狭い通路など閉鎖的な場所が好きだつたが、少し苦手になつた。何故かな?迂回して世田谷代田の駅横の
踏切を渡る。
 もうさうすると井の頭線はすぐだ。「新代田」は急行は止まらないが、二つ目が「明大前」である。なんとなくお腹も減つてきたかな。確か駅のすぐそばに定食屋さんがあつたなと思ひ出す。ホントにすぐそばだつたと記憶してゐる。
 でも、なかつた。休みかな?いや、まだ新しい点心のお店が出来てゐて、そこかも知れないと思ふ。他にらしい店が見当たらない。さて、どうしたものか?ここにくるまでに他に2店ほど、比較的新しさうな店があつた。そのうちの一つが実は気になつてゐた。表に「もつ煮込み丼」と出てゐたお店だ。好きなんである。
 すぐに決心して少し戻りそのお店に入る。
 入つたとたんに、少し「しまつた」と思ふ。そこは定食屋といふよりも居酒屋だつたやうだ。カウンター席10ぐらいの小さな店だが、いはゆる定食的メニューがない。カウンター内に一升瓶が並ぶ。ぼくは酒が飲めないので、この手の店には入らないのだ。まだ6時ぐらいで他に客はゐない。ぼくはかなり素早く判断して、座る前に「もつ煮込み丼ください」と言つた。すると「はいよもつ煮込み丼ね!」と勢い良い声が戻つてきた。にいさんといふよりは若いおぢさんだ。おぢさんは続けてお酒の注文が来るのを待つてゐたかも知れないが、ぼくはしない。
 微妙な間が生じた。なにしろ煮込みは目の前で煮込まれてゐて、いつでもOK状態だつたのだが、その割にはほんの(本当に「ほんの」)少々おぢさんの動作に遅延が見られたのだ。おぢさんごめんね。
 そして、どんぶりを出してくれた後も、おぢさん自分でウーロン茶飲んだりして、持て余し気味。だつて他に客ゐないんだもん。
 と、まあ、不思議な緊張感が生まれたが、「もつ煮込み丼」は、かなり相当滅茶苦茶おいしかつた!「おぢさんうまい!」と心の中で言つた。ぼくはかういふ社交辞令が苦手なのだ。だから、精一杯「ごちそうさま!」と大きめの声で言つた。おぢさんホントにうまかつたよ。(おぢさんおぢさんと申し訳ない。明らかにぼくより年下です)しかも!500円!安い!うまい!え〜と、酒飲まないけどまた行きたい!