さくらネタ ― 2006年04月03日 22時22分26秒
ある冬のこと少林寺拳法修行中の、後に輪佐里(わさり)と名乗る男、森に主に会(お)ふて、その技を極めんと深き森に入る。さまよい続けるうちに桜の季節来たるがもとより俗世の習はしを捨て寝食も忘れ日の数え方も疎き男、時節を得ず。これすなわちすでに修行の意味取り違へし者なるが自らは覚へず一人どうどうと巡り続け、ある日森の彼方にやうやうの輝きを認め走り行く。そこは森の出口なり。やうやうの輝き、はからずも浮き世の絢爛、桜に惹かれし自分に愕然とするも、その先に揺れる笹に主を見い出す。森の主森におらず、俗世に出て笹の身を借りて桜と戯れるなり。男そこに竹のしなやかさ、したたかさを覚え、その音さわさわと胸に触るなり。わさわさとさわりわさわさとさわりわさわさと‥‥‥‥‥輪佐里と名乗る。
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