乗合自動車二景2006年08月05日 22時13分56秒

 これはイチゴ。一期一会?

乗合自動車二景壱。
 バスの一番後ろは普通五人座り。ぼくは一番後ろの窓側に座つてゐた。反対側の窓際におぢさん一人。雨が降つたりやんだりの午後のひととき。途中で、にいさんのつて来た。ゲーム機からはヘッドフォン、音は聞こえるやうな聞こえないやうな。にいさん一番後ろの真ん中に陣取つた。傘も前座席の取つてに引つかけ構へは万全。小さなゲーム機を両手でしつかりホールド。足は肩幅の約2倍、前傾姿勢、左右の親指をピパパペキキキスパスパと素早い動きで集中度100%。
 さほど混まなかつたバスは、最後部座席三人のまま、終点へ。
 終点へ。
 終点へ。
 にいさん集中。親指の動きは最高潮。心なしか背中が微動。ペキキキパプパプチュトトト。動き止まず。
 両側のおぢさん。ぼくともう1人。バスを降りられない。
 しばし待つが反対側のおぢさん待ちきれず。にいさんと前の座席のわずかな隙間を押し広げつつ前へ出た。にいさん、さすがに気がついた(いや、多分終点に着いたことはすでにわかつてゐた気配)腰を半浮かせしつつでも、ゲーム機に集中。隣で待つてゐるおぢさんには気づいてゐるのかゐないのか?
 降りることに集中度の3%ぐらいを分散。半浮かせの腰を上げました。親指の動きわずかに休止。そのまま前へ。引つ掛けられた傘には目もくれず。
 ぼくは一言「傘!」
 と、にいさん。振り返り傘を持つて降りてゆく。声をかけたおぢさんには目もくれず。いや、声はただの天の声と思つたか?最後の最後まで気づかなかつたのかも知れないな。ぼくの影は薄かつた?

乗合自動車二景弐。
 夜はみなさん疲れ気味。座れば眠る心地よさ。
 みなさんの乗るバスはどんなバス?
 ここの路線は車両の前半分一人掛け、後ろ半分二人掛け。一番後ろは五人掛けね。二人掛けで窓側に座つた場合、中側の席の人よりも先に降りる時は、声をかけ出してもらわねばなりません。まあ、だいたい気配で分かるもので、この人降りるなと思ふのと「すいません」と声をかけるのはそれこそ見知らぬ同士だが「あうん」の呼吸。
 ところが、とあるおぢさんお勤め帰りで超お疲れ熟睡モードでございます。窓側には、おばさんと呼ぶにはまだ少し早いおねえさまが、座つてらした。図々しいおばさんなら熟睡モードのおぢさんなんか、叩き起こして降りるのだらうが、おねえさま奥ゆかしく遠慮気味。とんとんと「小さく」肩を叩きます。もしかしたら触るのが嫌なだけ?でも、お困りの様子に変はりなし。もう一度トントンと傷つけないやう驚かないやう優しく叩きます。おぢさん起きる気配なし!
 これは駄目ですね。おねえさま降りられません。てな訳にもいかない。後ろに座つてゐたぼくは「バシッ」(いや、そんなに激しくはありませんがね)と背後から攻撃。さすがにおぢさん気がついた。隣でおねえさん待つてゐる。席を立つて譲ります。(このおぢさん、叩いたのはおねえさんだと思つてゐるでせう。きつと)
 で、話はまだ終はりませぬ。
 実はぼくも降りる場所。一番最後に降りました。
 と、おねえさん。ぼくが降りるまで待つてゐたではありませぬか!
 そして「どうもありがとうございます」つて、丁寧にお礼など。
 いやいや別に大したことをした訳でもありませぬ。おぢさんの肩を叩いただけ。お礼など言はれて困つてしまいました。「いえ」と一言無愛想にそそくさとその場を去りました。
 いやあ、素晴らしい体験。世の中まだまだ捨てられぬ。人の心に仁義礼智信。奥ゆかしく丁寧なおねえさんお幸せになれと願ひます。

コメント

_ 走れ!コータロー ― 2006年08月06日 10時29分29秒

キレーなおねえさんでしたか?

_ 走れ!コータロー様 ― 2006年08月08日 22時24分36秒

 うん。結構。

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