ぜひとも読んでいただきたい2006年09月19日 21時10分44秒

 昨年末ぐらいから、社会派にならんと妄想を抱きつつあれこれと本を(数冊!とここで「笑ひ」の絵文字が入る)読んできた。小説に引き続き主に図書館で借りてゐたわけだが、7月頃だつたか、タイミングが悪いのか変な事が起きた。
 新刊で、まだ在庫に入つてゐない本もタイトルはもちろん著者や出版社が判れば先に予約することが出来るわけだが、森田実氏と副島隆彦氏の共著「アメリカに食い尽くされる日本」といふ本を予約したところ、数日後に『そんな本はない』と連絡が来たのだ。
 小市民としてはドキリとした。さう、つまり最近その手の本ばかり予約しては借りてゐるので、不安になつたのだ。個人情報といふか市民情報として借りる本の傾向は一目瞭然。保谷田無市はこれから保谷駅周辺開発にともない反対分子を選別してゐるかも知れない!なんて要らぬ妄想を抱いて、本屋で買つた。もちろん『そんな本はあつた』そしてブログ内で何度かタイトルを上げた『次の超大国は中国だとロックフェラーが決めた(上下2巻)』も買つて読んだ。その他数冊買つて読んだが、ここのところ買ひ控えてゐたCDやDVDなども、偽りの景気回復情報に乗せられて買つてしまつたりしてゐる。偽る偽らざるに関はらずぼく自身の景気が回復してゐないのにそんなに買ひ物をしては下方格差丸出しになつてしまうので、ここはやはり危険分子とされてもやはり図書館を利用せん!と勇気を出してこの本予約しました。これもその時にはまだ在庫はなかつたのですが、必要事項書き込み予約。今度は『そんな本はない』連絡はなく無事予約成立。しかも2番目!ぼく以外にも危険分子がゐたわけです!?

 とまあくだらない考察はさてをき、この本はぜひ読んで下さい。
 親の代から自ら民の党ですとか、ABCZOいいぢやないとか、どうせだれがSorry になつても同じでしょとか、興味ないもんとか、日々のくらしで精一杯やねんとか、思ふてゐる方々、赤ちゃんもぢいちゃんも皆みんな。
 何故勧めるかといふと、読みやすいからです。ぼくとしては珍しく一気に読んだ。
 繰り返しますが、社会派を目指して無理して読んだ本の数々。どれも大変ためになりますし(当然それぞれ少しづつ意見が違ふ)どの著者も出来うる限り誰にでも読めるやう判りやすく書いてあるのですが、なにしろ『無学の壁』は厚く、どうしても専門的な部分での理解が薄くなります。そんな中『奪われる日本』は、ダントツに判りやすく知るべきことが綴られてゐます。
 何故判りやすいのかといふと(これはぼくの想像、感想ですが)僅かな感情を含んでゐるからだと思ひます。訴えてくるものがあるのです。まあ、感情過多のエンターテイメントに慣れてしまつた方々には、影響ないかも知れませんが、それでも、読みやすく理解出来ます。
 だから3部構成の第3部は読まなくてもいいですから1部2部だけでも読んで下さい。
 と、いきなり妙なことを書いてしまいましたが、第3部はやや勧めにくいのです。読者として否定するものではありませんが、読む人によつて多分に過剰反応を示し、それによつて1部2部の読後感に影響が出ては困るからです。
 ぼくのやうな似非社会派は大丈夫ですが、真性社会派の方や、非社会派の方の中にはアレルギー反応を起こす人もあらうかと思ひます。(ぼくは読んでよかつたと思つた)
 それから行間に薄らと出てゐる感情のことを補足しておきます。これを乏しいと解釈されたら著者に申し訳ないので。
 僅かな感情とは薄い訳ではなく抑制されてゐるといふことです。底辺に流れるものは深い感情と憂いと切なき願ひです。あくまでも真実を語るために冷静で客観的な態度を守つてゐるわけです。
 そしてその感情の一部が「あとがき」にこぼれ出るやうに記されてゐます。
 ぼくはその文章を読んだときに思はず涙してしまいました。スターバックス(アメリカン)でカプチーノ(イタリアン?)を飲みながら。老眼鏡のおかげで周りからは少々見えにくかつたと信じてゐますが、ごまかすのにちよいと手間取りバスに乗り遅れてしまいました。

 あえて青臭いことを(どうせゴミ箱だ!)書きますが、人間に大事なのはやはり『誇り』と『情熱』でしょ。

 誇りは屈辱と苦悩の果てにある。