忙しぶつてゐる間に2007年02月16日 20時58分21秒

 昨年、10月頃から年末へと、さも一生懸命仕事をしてゐる振りをしてゐる間に「おっといけねえ」的な(つまり自分にとつて)出来事が2つあつた。
 2つといふのは、あくまでも現段階で発覚してゐるものであつて、他にまだあるかも知れないが、とりあえず2つだ。
 ひとつは、11月にロバートアルトマンが亡くなつた。別に、知り合ひでもなんでもないので、そのとき訃報を知れなかつたから、だうかうはないのだが、でもなんとなく残念なんだ。何年か前、好きな役者のオリバーリードが亡くなつた時も7〜8ヶ月後に知つて「いつの間に!」と、さみしい思ひをした。
 ロバートアルトマンは好きな監督だ。しかし、作品を見るのは結構大変なんである。さういへば以前にも書いた事があるかも知れないが、なにしろ、公開が地味で、それこそ注意してゐないと「あっ」といふ間に終はつてしまうのだ。それどころか、そもそも公開されない事なんかもあつて(ここ10年ぐらいの作品はだいたい公開されてゐるみたいだが)とにかく油断大敵なのだ。近場では「バレエカンパニー」を見逃してゐる。これは、そこそこ長くやつてゐたやうだが、映画館がちよつとな〜。といふよけいな気持ちが邪魔をしたかも知れない。
 とにかく、この人の映画は油断ならないのである。めっぽう面白いかと思ふと、極限まで眠たい作品もある。(何故かポールニューマン主演の2作が、睡眠導入効果抜群!)究極に仮借ない演出で、見てゐるうちに神経衰弱になつてしまう作品もある。(「三人の女」「ゴッホ」)全く笑へないコメディや意図不明、でも眠れない(「突撃!OCとスティッグス」「ベースメント」)びつくりするほど普通の作品(「相続人」)などなど、心して見ないといけない。
 そんな見るのが大変な人の作品だが、ぼくは結構見てゐる方ではないかなと思ふ。(いや、全作品見てゐる人も大勢ゐるとは思ひますが)おそらく大別すると『マッシュ』からアルトマン一筋の人と『ザプレイヤー』以降の人に分かれるのではと勝手に想像します。
 それで、ぼくはどちらでもありません。
 「マッシュ」は、よくわからなかつた。まだ子供だつたから。後年DVDで見て(わぉ、最近ぢゃん)アルトマンの『真ん中路線』の作品だとわかりました。
 それ以前の作品は置いといて、その後の作品(バードシット)は未だ見られず『ギャンブラー』に行きます。この作品が、取つ掛かりといふことになるんでせうか?「不思議な」といふか「変はつた」といふか、「違ふ西部劇」でした。雪の中のウォーレンビーティが、印象的。
 その後、数作品ありますが、タイムリーには見られず、そして、あの日がやつてきます。1977年だから、もう仕事始めてたかしら?5月2日文芸座『大統領の陰謀』と2本立て、集客的には『大統領‥‥』がメインかな〜。
 でも、ぼくを揺るがしたのは『ナッシュビル』でした。
 作品についてだうかういふの苦手だし、伝へにくいし、その時の状況(行動?)を説明します。
 軽くね。
 ま、とにかく見たの。『大統領‥‥』『ナッシュビル』の順番で。
 で、ブッ飛んでしまつたのね。
 そして、映画館を出たんだけど、新宿でもやつてたの。名画座ミラノ(現在シネマミラノ)で。ここは1本立て。そこで、また見ましたのよ『ナッシュビル』その日の最終だつたんだけどね。
 で、またさらに新たにブッ飛んだのね。
 そこで、あることに気づくのね。大した事ぢやないんだけど、文芸座のチラシを確認するとさ、まだ『ナッシュビル』の最終に間に合ふのよ。文芸座つて凄い映画館だつたな〜。いまでいへばレイトショーの時間まで繰り返し上映してたました。いつもいつも。
 だから、新宿からまた池袋に戻つて文芸座で見たのさ。
 そして、そこであることに気づいたのだ。
 一番前の座席で録音出来る!
 ああ‥‥犯罪だ‥‥。今思へば‥‥といふかなんといふか‥‥。
 今の自分の職業を考えると複雑な気持ちでありますかな。
 三日後、準備万端整えて(当時はビデオなんてありませんぜ。だから罪は軽い!?)再びといふか三たび?いや四たび?ま、文芸座的には三たび。
 カセットレコーダーを抱へて、わざわざ最終回に(他の回だと人々の出入りが激しくてうるさいのだ)一番前の座席に陣取つて録音しながら見たのだ。
 ただね。この映画2時間40分あるんだよね。
 おお〜〜。120分テープで足りないのさ。表、裏、次のテープと都合3回、ガシャコンガシャコン入れ替へしたといふことぢやね。
 しかし、英語わからないのに録音してどうするつもりだつたのか?
 そして、そのテープはその後どうなつたのか?
 わからないのだ。
 この映画、音楽の権利問題がむづかしのか?いまだソフト化されないのだ。
 アメリカではレーザーディスクが出てゐて(ま、今は廃盤でしょ)なんと脚本家のミートリバーが持つてゐて(この男はなんでも知つてゐるし、なんでも持つてゐるといふ恐ろしい奴なんだが)数年前借りて見た。英語判らないけど、やはり面白かつた。大体この映画は1度や2度見たぐらいでは、見たとは言へないぐらいのものだから、見るたびに面白いのだ。