いのち 最相葉月2007年03月27日 20時15分47秒

 文春新書『いのち 生命科学に言葉はあるか』著者、最相葉月(さいしょうはづき)2005年10月発行。
 2002年から2003年にかけて、行つた取材を対話形式にまとめたもの。対談相手は哲学者、サイエンスライター、宗教学者、発生生物学者、ウイルス学者、ナチュラリスト、医師、ノンフィクション作家、宇宙生物学者、分子生物学者、社会学者と多岐に渡るが、テーマは表題の通り。
 いまさらなのかもしれないが、まづ驚くのは最相さんといふ人の勉強度といふか、知識の豊富さ。そんなことに驚くのは、いささか的外れかもしれないけれど、仕方がない。比べる事にはもつと意味がないけれど、もしもぼくが、上記の人々に取材をしても、頭の上に「????????」と、マークを出したまま、何も得る事はないだらう。テーマに対して、追求する姿勢にとにかく驚いてしまつた。
 内容はタイトル通りであるが、そもそも何故この本を手に取つたかといふと、序章のタイトルが目を引いたからだ。それは『ドリーの遺言』
 クローン羊に引かれて、本を手に取り、時に難しい言葉を飛ばしながら!?読みました。これだけいろいろな人の言葉があると、一色に染まらずに、考えに触れる事が出来たと思ふ。人の言葉に左右されやすいぼくとしてはいいのかも知れないなと思つた。もちろんそこには最相さんといふ1人の個性が反射してゐるのかもしれないが、複数同士てんでんばらばらの対話集を読むよりは整理されてゐていいだらう。
 そんな中で、特に染みた言葉を書いておく。
 最近、進化についてほんの少〜し興味を抱いてゐることもあり、余計に感ずるものがあつたのだ。
 柳澤桂子(やなぎさわけいこ)本の帯によればサイエンスライターとの事だが、発生学、遺伝学が専門の生命科学者であると、最相さんは紹介してゐる。細かい事は本で確認してね。
(さて、転載開始。柳澤さんの言葉)
 進化を勉強しますとね、いのちが自分のものだなんていう考え方は絶対にできなくなりますよ。私たちは両親の生殖細胞から生まれたわけですが、生殖細胞は三十八億年のあいだ、一度も途切れることなく奇跡に奇跡を重ねてDNAをつないできたのです。生殖細胞からできた私たちのからだは、三十八億年の歴史をもっている。そう考えたら、これが自分のものだなんてとてもいえないでしょう。
(以上です。ここに至る言葉は本を読んで埋めてね)
 三十八億年ですよ。へへ。どんなもんだい!
 って‥‥‥‥。