ハートの直結道路工事62007年07月31日 21時52分53秒

(注、写真は心臓ではありません)

 さてと、いよいよ本題に入るかな……。
 と、本題があつたのね〜?

 さう。冠動脈(かんどうみゃく)が狭窄(きょうさく)を起こした。
 ステントも入れたが、血がとろとろになつてまた溜まつてしまつた。再びのステントは、血管を傷つけてしまう確率大だ。うまく行つたとしても、また塞がる可能性も大きい。もちろん放つておいたら、血液中の酸素不足で、心筋梗塞を起こして大変なことになる。
 となると、次なる手段は『冠動脈バイパス手術』だ。

 と、本来なら、さういつた絵を付けるところなのだが、本題に入つたと言ひつつまだ、プロローグなので(?)けふは腎動脈(じんどうみゃく)狭窄のCT映像を乗せてみた。(造影剤使用)
 判りますかな?ただしこのケースは、大動脈からすでに(細いけど)二本に分離してゐるため、血流はやや悪めぐらいで済んでゐる症例だ。シンチグラムといふ血流(血量)を調べる検査をすると、豆型の上の方がやや薄に映る感じです。
 (シンチグラムとは、放射性物質!を注射して体の中から放射線を放出させてそれを映すといふ逆レントゲン(!?)方式の検査法です)

 と、寄り道は早めに切り上げて、さて、ここで、質問です。
 みなさんは『ICU症候群』といふのを聞いたことがありますか?
 ICUとは、Intensive Care Unit、集中治療室といふ奴でありますな。
 このシリーズでこだわり続けている心臓に関していふとCCU(Coronary Care Unit)冠状動脈疾患管理室といふのがありまして、心臓発作などが起こりますと、まずここへ運ばれます。ここで、モニターされるわけですね。
 心電図はもちろん、血圧、呼吸、代謝、それから点滴など、体中に管をつながれ、たいていガランとした反響音の中、医師や看護師の足音、話し声、そして、モニター機器のピッピッピーッ、ピロンチョピロンチョ、ツアンツアン、ジ〜〜〜〜〜〜〜〜〜、ペチョンパなどと、いふ普段聞かない音に囲まれます。
 ここで厳重厳密な監視をします。検査をしてまたさらに監視を続け、どんな治療がいいのか判断をするわけです。
 そこで『ICU症候群』です。
 ここに「運ばれる」と書きました。
 多くの場合「あ!胸が痛い!ああ!痛い!ニトロニトロ!(チュパチュパ!)ああ!効かない!救急車救急車!」と悶絶の末、来ることになります。
 では、来週の月曜日からCCUでお待ちしてゐますから、来てください。などと、自分の足で、来ることは少ないのだ。
 たとえ自分で救急車を呼んで連れて来てもらつたとしても、症状のつらさを考えれば、へたをすればつく頃には前後不覚に陥つていることもあり得る。さうして、救急治療で、いくらか意識がはつきりする頃、自分の周りでは、ピッピッ(以下略)と、繰り返される音。目を開けると、知らない天井。少し巡らしたとしても、白いカーテン?カーテンの隙間を通る白い人々。体にまとわりついている(刺さつてる)管。シューパシューパと送られて来る酸素。
 ここはどこ?
 今何時?
 夢見てる?
 あんた誰?
 え?
 え?
 え?
 え?
 えええええええ〜〜〜〜〜!!!!!
 といふ具合に訳が判らなくなつてしまうのだ。
 心臓発作で動けるわけが無い人が立ち上がつて暴れまくることだつてあるのだ。人間の力には、計り知れない物がある。
 まあ、たいてい鎮静剤を使用することになる。でなければ、暴れて心臓に負担をかけてまづいことになる。鎮静剤が効かない場合は縛る。いろいろ意見もあらう。でも、急場は縛る。おそらく医師や看護士は何度も経験してゐると思ふが、本当に優れた(誰も傷つかない)対処法は、いまのところ無い。
 そして、徐々に自分の状況を理解してもらう努力をするわけだ。
 救急車で運ばれたのだと思ひ出せば、まあ、とりあえずは小康状態になるだらう。その後の問題は残る。
 と、これが『ICU症候群』だ。
 もちろん個人差はあるだらうが、年齢、性格に関はらず起こす時は起こしてしまう。若者も年寄りも柔和な人も頑固な人も条件は変はらない。

 つづく。