逢坂浩司展2007年11月28日 13時13分15秒

 機巧奇傳ヒヲウ戦記第弐十六話絵コンテより。
 実際問題かのやうな『絵』にコピーライトをつけられても迷惑かもしれないけれど、実作業で使はれた素材なので、つけときました。(にしても無断使用なので、罰せられることがあります<覚悟の掲載!?>)

 だいたい作品が仕上がると絵コンテは処分してしまうのだけれど(結構かさばりますから)いくつかの作品は処分し損なつて(!?)家に積んであります。特に思ひ入れがどうのかうのと、選択をしてゐるつもりはありませんが、ヒヲウ戦記は、残つてゐる作品のひとつ。26話分全部あります。

 ま、それはともかく……展と。(てんてんてんと読む)

 杉並アニメーションミュージアムといふところで(東京都杉並区にある)昨日より『アニメーター逢坂浩司氏の追悼展示会』が開かれてゐる。ミュージアムの中の企画展のスペースに原画などが並んでゐる。
 上映スペースもあつて、作品も見られる。昨日はレイズナーが上映されるみたいだつたが、時間が合はず見られなかつた。事前に調べたまえといふことだ。
 企画展のホームページアドレスは、http://www.sam.or.jp/event.php

 もの言はぬ『画』の数々を眺め、思ふ事はいろいろあるが、やはりヒヲウ戦記関連の絵をみると、ためいきが出る。
 友人や、先輩、後輩の追悼文のコーナーがあつて、これを見るとさらに胸に粒子の集合体みたいな細かく大きなものが充満する。実はぼくもこのコーナーにものを寄せてはゐるのだけれど、とても追悼文と呼べる物ではなく、そこでは目を伏せる。見ない方がいい。この感情が恥づかしさにすり替はつては、あまりにも悲しい。

 彼が亡くなつてもう二ヶ月たつのだが、いまさらと思ひつつ『ヒヲウ戦記』の最終話を見た。積まれて埃だらけの絵コンテも引つ張りだしてきた。
 上の奴はそのワンカットなわけだ。よく見ると(全然良く見なくても!)胴体が描いてない。それは、言ひ訳をすると、これは同ポジションと言つて、前後(この場合はあきらかに前)に、同じアングル、サイズの絵が存在してゐて、まあ、つまり動きに特別な変化が必要ないので省略してゐるわけだ。
 念のためさらにいふと、同じアングル、サイズのカットが無かつたとしても、芝居の流れがあるので、このコンテの絵柄ならポーズは必然的に決まつてくるものだ。
 でも、手抜きだと言はれれば、否定しづらい……。
 いや、言ひ訳コーナーではないので、だらだらと書いても仕方がない。

 さうではなくて、あらためて出来がいいなと思つたのだ。自分が監督したものを出来がいいとは、図々しいにもほどがあるが、出来がいいのは、監督がどうこうではない。カット161の絵コンテを見たまえ。もちろんこれは「ただのひどい絵」ではない。かなりひどい絵だ。
 でもね。そのひどさの中にも思ひだけはあるのだ。
 そしてね。彼はそれをちやんと判つて、その上さらに作品として完成させてしまう人だつたんだ。

 なんだか、ぐちぐちしてきてしまつたか。
 これはいかんね。

 無料です!(いきなり……)
 いささか行きにくい場所かもしれないけれど、見に行くがよし。
 12月9日の日曜日までです。

 それから、多分撮影禁止だよ。
 ぼくが行つた時、結構立派なカメラで写してた人がゐたけど、だめだと思ふよ。
 ……って、こんなところで言つても全く意味ないけど。係の人に聞いてみてね。

P.S. !!
 大変なことに気がついた。
 『逢坂浩司展』と題して、いきなり冒頭の絵では、あまりにも失礼な構成だ。
 カット161とナンバーがふつてある絵を描いたのはアミノテツローです。
 厳重注意!