胎内ライダー巡の弐 ― 2008年12月29日 22時01分47秒

つ〜ことで、拝観料500円を払ひ、この中に入るのだ。
何故だらう人型の中に入るつてのはわくわくするな。
まあ、観音さんに人型なんていふたら失礼かも知れんけど、このわくわくは人として仕方がないのではないかと思ひもする。胎内めぐり(本来は「くぐり」か……)ちうぐらいに、記憶にはないけれど自分がそこにゐたはずの何かを確認したいのかも知れぬな。
「めぐり」か「くぐり」かで考察すると、ここ東京湾観音は、縦に細長いわけで「くぐり」感もあるけれど、中には大勢の神さんや、仏さんが、待ち構へてをつて、ぐるぐると螺旋(らせん)をたどりつつ次々にお目見へしてくるので、やはり「めぐり」感が大きいの。

これは、そのうちのひとつぢやけど、なんだか忘れてもうた。
オートフォーカスなのにピントがぼけぼけなんは「カメラなんぞ向けおつて失礼じゃぞ」つう声明なんではなからうかと思ふ。
ちよいとデータを確認してみると、高さは56メートル。
大きく分けて、十二支守り本尊と、七福神がおられる。
そのつど、賽銭箱が、待ち構へとるのだけど、そんなん思ひもよらなんだで、上に行くまでにお納めするお金が無くなつてしまう可能性を鑑みて、一律に素通りさせてもらうことにした。
なので、なるべく目を合はせないやう、でも手は合はせつつ通らせていただいたので、ピントもこんな感じになつたのかも知れぬ。

そして、生々しい銃痕に見えた背中の穴は、かのやうに窓なわけで。

もちろん外が見える。
素通しだつたり、鉄の棒が横切つてゐたり、ガラスがはめてあつたりと、大きさも形も違ふ。花形は肩の文様だ。
だが、肩はまだ先の話で。

12階から13階あたりにトラップがある。
そもそも階数があるなど、考えもせずに昇つてをるから、後から調べたことだけど、螺旋階段をぐるぐる回つてゆくと、脇へそれる階段がある。
人間の心理として、脇道へそれるのは致し方ないこと…(?)

そこは、つまり、腕なのだつだ。
ここで、いきなりの高さに驚くといふか……恐怖した。
推定30メートル後半かなあ?
高所恐怖症ではないつもりだつたが、単純に怖かつた。

ここは、脇にあたる部分で、まづは左腕に出たわけだ。
まあ、指を見てもそれは判る。
とにかく、そんなことよりも怖かつたわけで、何が怖いかといふと、建造者には申し訳ないが、白さが張りぼてのセットを思はせて、抜けるのではないかと、かなり余計な不安に苛まれたのだ。

この傾斜(?)は帰りに寄つた右腕だ。
腕の丸みは外へ向かつて下がるわけだから、金網があるとはいへやはり怖い。
そして、この坂(?)を昇つた先に。

ひび割れ!?を見つけてしまつた。
いや〜ひび割れつて……ね。冷静に考えれば、この巨大な体に対してかすり傷にもならないわけで、足がすくんだ己が情けない。
だけど、この観音さんから落ちるやうなことがあれば、それはもう地獄へ直行なわけで、恐怖を感じるか否かは日頃の生活態度の結果なんではなからうかと思つたりもするのだ。

まあ、多少破れてたりするけれど、これだけ守られてゐるなかで、何を怖がる必要があらうか?
それなりに品行方正にくらしてきたつもりではあるが、尺度や、概念そのものが違つてゐたら、ほとんど意味がない。
耐震構造がどうしたかうしたとか、言葉だけで理解してはいけないといふことなんだらう。

そんなこんなで、おお、光が見える……。
この光の口からは、おそらくお掃除の(超勇気のある)人たちしか、出て行く資格はないのだ。
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