once upon a time2010年02月01日 09時45分39秒

 昔、新宿東口にカメラのさくらやがあつた。(まだあるけど)
 西口にはヨドバシカメラがあつた。(もちろん今もあるけど)


 昔、カメラ小僧(?)だつた頃、モノクロ現像は自分でやつた。
 チョロチョロと水を垂れ流し続けるから、水道局から「水漏れしてるんでねえの?」と調べに来た。
 さくらやのサクラといふ響きは、なんか高尚な気がして好きだつたが、フイルムや現像用品を買つたのは主にヨドバシカメラだつた。

 ……あれ?

 いや、ホンの少しではあるが、ヨドバシカメラの方が安かつたのだ。
 それでも、たまにはカメラのさくらやは利用したのよ。
 つ〜か、この二つのカメラ屋さんは、ある種「青い空」なのだ。

 後年、さくらや(もう「SAKURAYA」だつたかな)は無謀にも Mac の専用フロアなんか作つたので、 利用させていただいた。
 さらにその後、なんとなくストップウォッチや時計、メガネは SAKURAYA で調達する習慣が身についた(?)

 いや、最近ほとんどニュースも見ない生活を続けてしまつたので、先日おNewの老眼鏡を作りに行つた時。
 「もうご存じかと思いますが、SAKURAYAは閉店になりますので」
と、言はれた時、戸惑つてしまつた。

 まさかそんな事があらうとは思ふてもおらなんだ。

 頼んだメガネが若干特殊だつたので、出来上がりに時間がかかるとのこと。
 「SAKURAYAは2月いっぱいで閉店ですが、必ずお作りしますから」
と、まあ、当たり前っちゃあ当たり前の事だと思ふが、その店員さんの切々とした言ひ方が胸に残つた。

 だけど、ポイントは残さなかった。




くりかえしめくくり2010年02月09日 10時53分52秒

 メガネを購入した「Sや」から連絡が入り、メガネが出来たといふ。
 (「Sや」とか今更隠し立てしたところでなんの意味もないけど)
 時間がかかると言はれてゐたので、おお凄いと思ひつつ、受け取りに行つた。そんなことはないだらうが、2月を越してしまつたら面倒なことになるから急いでくれたのだらうな。なんて思ひつつ。

 と、さて、しかし、
 「はい」と渡されたそれは、
 違ふものだつた……。
 いや、正確に言ふと、違ふものではないのだが、その、若干、微妙に、細工といふか、最終工程がなされてゐなかつたといふか、まあ、俗にいふバージョン違ひ?
 そんなややこしいものをこの非常事態に頼む奴が悪いとも言へるが、またしても戸惑ふ。
 何故戸惑ふかといふと、以前wabizsabiといふ名のメガネを買つたときにも似たやうなことがあつて、そのときは、左右の度数が合つてゐなかつたといふ理由だが、ま、つまり「失礼しましたもうしばらくお時間を」といふ事態になつてしまつたわけだ。

 ただ、その繰り返しに感じたことは「またか面倒くさい」ではなかつた。
 ここですんなりと終はつたら「Sや」のおもひではただ通り過ぎるだけの、もしかしたら若い頃フイルムや現像液を(ヨドバシカメラよりは少なく)買つた記憶も摩耗してゐたのかも知れないやうな、少しも有り難みのないものなつてしまうところだつたのだらうなといふやうな考えが、つらつらつら〜と脳裏を駆け巡つたのだ。
 (それを戸惑ひと表してみました)

 そして、そうだ。これを締めくくりといふのだ。
 と、思ふことにした。
 お店の人は丁寧だつた。みなさん、この先どうなつてゆくのだらうと、若干切ない気分を味はいながら、持ち帰るはずだつた重量を埋めるべく(軽さが特徴のメガネだけど)気分を変へてCDでも買ふかと、高島屋方面へ向かう。
 新宿にはHMVが2店ある(あつた)駅から近い店舗は、かなり縮小してしまつたので、大きめの方に向かつたのだ。

 しかし……。
 甲州街道の高架の向こうに見えてくる高島屋の横壁に、あるはずのものがない。
 かはりにと言つてはなんだが、ユザワヤの看板。
 ああ、さういへば高島屋に出来たと聞いた気もする。
 でもでも、3つのアルファベットが見えてこない。

 ああ、さういふことなのか……。

 と、察し、甲州街道を渡ることなくタワーレコードに入つた。
 そして、ポッカリと抜けてしまった何かを埋めるために、通常より多めに購入してしまつた。(久しぶりの試聴三昧は楽しかつたけど)

 ……それだけでは埋めることが出来なかつたのだらう、結局禁断のブツにまで手を出してしまつた。

 先ほど調べたら、HMV新宿高島屋店は、1月6日に閉店したとのことだ。

 やはりさうだつたのね……。
 と思ひつつ、最近インターネットで購入することが多かつた私。

 裏切り者はここにゐた。

特別製2010年02月14日 22時03分19秒

 けふはアフレコでした。
 まあ、こんな日なので、スタジオには甘い香りが漂ひました。
 全6章の第1回目だつたので、どこか特別な雰囲気があつたのか、あるいは、そこらのメーカー品(そこらのメーカーさんごめんなさい)といふわけにもいかなかつたのか、珍しげなチョコがありました。
 今朝おかぴより不況の影響か、例年より寂しい感じがしたよと聞いてゐたので、この賑はいはよかつたのではないかと……。
 某作品はお菓子屋さんに貢献しましたよ。

 さて、つい今し方、帰り着くと我が家ではお手製の品を鋭意制作中。
 もう14日が終はつてしまうぞといふ勢いですが、おとちには特別だと青いアラザン(つぶつぶ)の乗つたものをもらいました。本命義理チョコ友チョコ自分用といろいろあるけれど、家族チョコは最後の砦か。

 変な風習だなと思ひつつ、これはこれでいいのだと感じるけふこの頃。
 しかし、さらに歴史の深さを感じる「おかえし」の風習はどうなのか……。

しめくくり2010年02月27日 11時41分28秒

 きちんとしておかなければならない。
 情報を振るだけ振つて結果報告なしはよくない。
 まあ、実のところこのブログはそんなのばかりだが、今回はいかんだらう。
 失礼といふのもだ。

だけど、結果報告だけといふのもさびしいので、事の流れを説明する。
そもそもは、アフレコ(映像に声を入れて貰ふ作業)の時に手元の台本と前方のモニターを見るのに適したメガネを作らうといふ思ひつきだつた。
手元の文字を見るための老眼鏡は、離れたものを見るのは辛い。よくメガネを下にズラして見るといふのはさういふことだ。
まあ、つまり遠近両用メガネといふ便利グッズがあるのだから、それでいいといふものだが……。

 今やつてゐる作品にこんなメガネをかけた奴が出てゐる。
 これは上半分がないので、下げ幅が少なくてすむではないか!
と思つたのだ。
 このメガネは俗に「逆ナイロール」と呼ばれてゐるらしい。(正式にはハーフリムといふのか?)

つ〜ことで、SAKURAYAへ。
しかし、さうさう都合のいいデザインといふものはなかなかない。
黒ブチでメチャクチャ格好良いのを見つけたけど、目的が違つたので断念したりしつつ、小振りで超軽いフレームを発見。
といふか縁なしメガネの群れに遭遇した。
逆ナイロールといふよりもナイナイロールな感じである。
なかなか目的のものも見つからず、これはこれで、小振りだからいいかな……。
なんて、あきらめの宗旨変へ(妥協速っ!)な気分になつてゐると、その群れの中から目に飛び込んできた美しいメガネ!
逆ナイロールは忘れて、それにしたのだ。


縁なしメガネの特性を壊して、細いカラー化繊でレンズを巻いてゐる。
だから縁がきれい!
しかし、まあ、それが原因で、リテークになつてしまつたのだ。
つまり、出来ましたと言はれて取りに行つたら、縁なしだった……。
まさか、このおっさんが、そんなもの買ふとは思はなかつたのだらう。


 そして、月末を待たずに無事完成。
 取りに行つたとき、品の入つた箱をのぞくと「渡すときにお詫びするように」申し送りの紙が入つてゐた。
 これが、SAKURAYA最後の思ひ出になる……。
 ところでこのメガネだが、一言加えるならば、慣れないと視界の周囲がピンクになるので、邪魔である。

 でもいいのだ。