千載一遇大作戦(序) ― 2014年10月24日 10時27分29秒
もうかれこれ半年近く前になるが「千載一遇大作戦」なるものを決行した。
珍しく忙しい日が続いてしまい作戦結果をまとめられずにゐたが、やうやくその機会がやつてきた。
なんでも「大」とかつけて落ち着いてしまうのは、世代なのか…。
昔、洋画の邦題にはよく「大」がついてゐたものだ。
まあ、そんなことはどうでもよいが、これは、設置した巣箱を選んでくれたシジュウカラが、だんだん賑やかに(親は忙しく)なり、そして、子供たちが巣立つまでの12日間の記録である。
って、これはウソである。
あれ!?
まあ、ウソじゃないんだけど、たまたまそんな感じになったといふだけのことで、目的は少しでも多くシジュウカラの姿を写真に納めたかっただけだ。
巣立ちの部分なんかぐだぐだで記録としてはなんの役にもたたない。
どちらかといふと作戦の試行錯誤の記録かも知れない。
繰り返すけど、当時少々多忙だつたので、巣箱を眺めてゐられる時間がなかなか取れず、昨年はビデオカメラを据え置きにして回しつぱなしにしたりしたのが、スチール写真が撮りたくてね…。
で、同じようなことなのだけど、今回は「インターバル撮影」といふのをやつてみました。
使用したのは RICOH GXR。
2010年から使つている。まだ5年だ。大したことないな…。
しかし、驚くのはデジタルカメラの進化の速さ!
何ヶ月前か忘れたけど、娘がデジタルカメラを買ふといふので、付き合ひ久しぶりにカメラ売り場へ行つたけど、何に驚いたかつて、そのオートフォーカスの速さ!
GXR の何倍だらう?桁外れのスピードだつた。
他にズームの深さとか、暗いところでも撮れるとか驚くことはあるんだけど、とにかくこの速さには思はず「速っ!」と声が漏れるほどであつた。
まあだからといつて急に欲しくなるといふことはなかつた。
なんといふかその、そもそも普段からオートフォーカス使つてねえし…
じゃあ驚くなよ!
と、ツッコミを入れつつ、今回のセッティングは、GXR に MOUNT A12 といふユニットを付け、さらにRAYQUAL(練馬にある町工場のオリジナル)のアダプターをつけ〜の、Voigtlander HELIAR 75mm をつけ〜の、の、こんな感じであり、

フォーカスはもちろん絞りもマニュアルしか出来ない組み合わせで、だいたいいつもそんな風なのです。
なので、あのオートフォーカスの速さは魅力だけど、馴染みのカメラの方がいいやといふところでしょうか。
念のため、補足しますと、オートフォーカスに頼らないなんて凄い腕前ではないかなんて勘違ひはなさらないで下さい。
ピンぼけ、カメラブレ、露光不良(明暗両方)が大得意であります。
自慢ではありません。いつも悔しい思ひをします。
ですが、それも撮影の醍醐味といふことにはしてゐます。
このデジタルカメラの時代に、ファジーな写真をほどよく撮るには最高のカメラではないかと思つてゐます。
これで、またまた勘違ひされると困るので、念の念のため補足しますと、ちゃんとした人がちゃんと撮ると、素晴らしい写真が撮れます。
客観的にも「素晴らしいカメラ」だと、断言致します。
さて、さっさと本題に入るつもるだつたのに、前置きの前置きがやたら長くなつてしまいました。
巣箱は、窓から見える位置に設置しているので、部屋の中に三脚を設置します。
巣箱を中心に、シジュウカラがよく留まつてゐる枝をフレームに収めて、なんて思ふのですが、三脚の設置場所もそうそう都合良くはいかず、

ごらんのように斜めになつたり、窓枠が入り込んだり、葉つぱも思ひの外元気良く生ひ茂り視界を遮ります。
風で、丁度巣箱の穴が隠れたり、しちゃったりして中々大変ですが、それが自然といふものだと、言ひ訳も見つけ、こんな感じから始めました。
かういふ時に、ちゃんとした人は、絞りがいくつで、シャッタースピードがどれくらいだ。みたいなデータをきちんとメモしておくのでしょうけど、いきあたりばったりのぼくは記録しておりません。
でもでも、さすがデジタルカメラはメタデータといふものが同時に記録されていて、驚くなかれ上の写真はシャッタースピード1/250、ISO200だとわかりました。さすがに絞りは解りません。(連動してゐないので)
が、出来るだけ広い範囲でピントが合ふことが望ましいので、絞り気味にしたのではないかと思ひます。
いづれにしろ初期判断としては「甘いぜ!」という展開になつてゆきます。
初日は、微妙なアングル替へもしましたが、それは後ほど。
でもって、インターバル撮影は2秒に1枚のセット。
これで、シャッターを一回押すと、バッテリーが切れるまで、ひたすらカシャリカシャリと写真を撮り続けることになります。(メモリーがいっぱいになるまでとも言へるな…)
セッティングをして、お出かけをして、帰つてから、写つてるかな〜(るんんるん)と、写真を一気見します。
JPGオンリーだと途方もない枚数が撮れると思いますが、放置すると太陽の加減で映り具合もかなり変わるので、RAWファイルも同時に記録しているので、保存されるのは大体1500ショット前後になりました。(バッテリーの充電具合で結構変はつた)
ですから千載一遇です。
実際「1000に1」かといふと難しいところです。
「おおっ!」と思はず声に出たのは、12日間(何枚だ?)で数回です。
でも、毎日毎夜中これを見るのが超楽しみ!
の12日間でありました。
のさ。
と、本気で長くなつてしまつたので、急遽タイトルに(序)をつけて、肝心の中身は次回へ。
千載一遇大作戦0510 ― 2014年10月26日 12時29分17秒
さて、初日5月10日。
実のところ、まだ千載一遇大作戦の気持ちにはなつてゐない。
前回述べたとおり、ただ枝に留まってゐる姿を撮りたいだけだ。
件の枝と巣箱の入り口をフレームに入れておけば、間違ひなく撮れる算段。
しかし、設置が予想外に難しい。
部屋の中の、棚といふか、とある障害物の上に置くので、まず水平がとりづらい。
この右端の窓枠も美観を損ねる。
とか思ひつつ面倒くさくなつて、覗いてゐるのだから、もつとそれらしくしてしまえと、わざとらしく窓枠を入れる。
こんな風に、穴から顔を出すシジュウカラが撮れればとりあえずは喜んでゐたわけだ。
それから、わざわざRAWファイルも記録したのは、こんな風に
引き延ばしも出来ると判断してのこと。
イモムシさんをくわえてますな。
最初から望遠レンズで設置したら、それこそ千載一遇どこの騒ぎではなくなる。ある程度、移動範囲をカバーしての設置だ。
こちらクモさんのやうです。
この写真は、枝と葉で、身体がかなり隠れてますね。
上の奴だつて、頭にかかつてゐたりして、自然といへば自然ですが、惜しい感じもしますよね。
これなんか、どこにゐるの?といふ感じですが、
ここにゐるんですね。
こんなんでも、巣箱を使つてくれてゐるのだなと思ふとうれしいんですな。
そしたら、こんなのが、
そうか。
当たり前と言へば当たり前ですが、こちらの枝にも留まるんですね。
こんどは、この枝もフレームに入るようにセットしなければいかんな。
と、思ふわけです。
そして、こんな写真も撮れてました。
飛び出した瞬間。
寄つてみませう。
真つ直ぐですな。
と、それはいいのですが、ここで気がつくわけです。
予想しないのがあきれますが、シャッタースピードが1/250では遅すぎるのです。(「過ぎる」です)
うまい下手はともかく、さういふわかりきつたことを実践しないところがチャームですな。
言ひ訳としては、枝に留まつてゐる鳥を撮りたい…なんですがね。
そうかこんな瞬間もあるなら(気づいてなかつたのかよ!)撮りたいなといふ思ひが芽生へ、千載一遇大作戦の兆しが…。
でも、まだなんです。
つづく。
千載一遇大作戦0511 ― 2014年10月27日 08時06分26秒
前日、シャッタースピードが遅い疑惑(全然疑惑じゃないけど)が発覚されたのにも関はらず、データを見ると1/250のままであつた。
ISOは400。
前回書き忘れてましたが、ISOは200で始めたものの、窓枠を入れ込むときに400に変更してゐました。
つまり、疑惑に負けず(?)同じ設定で臨んだわけです。
理由は、多分(自分の事ですが「多分」)巣箱の左手側の枝に留まつたところを写さうと考えたのだと思ひます。
上の写真を見ると、巣箱の奥にはピントが合つてますが、手前側はやや甘いです。奥側の枝合はせですね。
そもそも、アングルを見れば一目瞭然。
しかし、角度を変えても窓枠入るな〜。
とにかくこの作戦は思ひの外うまくいつた。
ここは、カメラとの間に葉っぱもないので、姿がよく分かります。
チャームポイント後頭部の後れ毛!も発見。
さらに、
上の枝にも留まつてました。
って、まあ、どこにでも留まるのでせうね。
巣箱に入りやすい角度とか、便利な枝はあるとは思ふのですが、どこに留まらうとそりゃあ自由です。
ピントが若干あまいとは言へ、普段の自分からすれば充分なわけで、出入り口付近もこの角度ならよく見えてますね…。

これはウソの連続写真ですが、何度も出入りするので、都合の良い奴をちょっと並べて見ました。
一番下の、飛び出した瞬間の奴なんか良い味出してますよね。
とか言つてると、こんなのや、
こんなのも、
撮れてます。
「こんなのや」なんか結構惜しいですぜ。
かうして千載一遇大作戦への気持ちが高まつてゆくのでした。
P.S.
共にくちばしの先がやけに白くなつてゐるのは、ヒナの糞をくわえてゐるからのやうです。お掃除ですね。
糞を外に捨ててエサを持ち帰るといふのが親の仕事です。
つづく
千載一遇大作戦0512 ― 2014年10月28日 09時32分55秒
さて
暗い。
ISO400をそのままにしてシャッタースピードが1/500に上がつてゐる。
1/500とはなんとも中途半端だが、絞りの確保とか考えてのことだらう。
木陰なんで晴れてても結構暗いのだ。
ただRAWファイルの力(?)で、
このぐらいにはなる。
ピントは、巣箱から離れて、カメラに近い方の葉っぱに合はせてあるから、飛び出した良い瞬間ではあるが、シジュウカラにピントは来てない。
鳥が確実に留まるであらう枝にピントを合はせるのではなく、巣箱の出入り口からカメラの間のとある空間にピントを合はせて、偶然そこを通り過ぎるときに、2秒に1回のインターバルのシャッターがおりれば、飛んでるシジュウカラが撮れる!といふ…
これが「千載一遇大作戦」の真の姿だ。
(千載一遇の「遇」と偶然の「偶」は漢字が違うんだな試験で注意しなきゃ)
とまあその偶然が来なかつたら悲しいだけの作戦だけど、といふかフイルム時代なら絶対にやらない作戦ですね。
デジタルカメラの凄いところかな。
ですので、
枝に留まつてもピント不明瞭。
まあ、まだ手前の葉っぱに合つているので、小さいサイズならそんなに虚しくない。
でも目的は違ひます。
飛翔!
思ひ切つて偶然作戦に出たこの日は、恵まれていたのか、千数百枚の最初の方で、こんなのにありつきます。
良い感じに羽ばたいてをります。
しかも木陰は暗いですが、お日様に当たる位置に来た鳥は明るいというメリハリもきいたりして。
後半にはこんなのも。
丁度葉っぱの上辺りの様ですが、明るさからすると太陽に雲がかかつてゐたのかも知れませんね。
それよりも感心(!?)したのは、
このブレ具合。
1/500では、まだまだ遅いつてことです。
鳥さん凄い。
と、上記2枚を見たときは喜びましたが、この日「おお」と思はず声を出したのが、この1枚。
弾丸かっ!
丸っ!
飛翔といふよりもぶっ飛びといつた方が良い感じです。
にしても、ことごとくヒナの糞をくわえてますね。
どんどん成長して出すもん出して、掃除が忙しいといふところでせうか。
つづく。
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